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1ねんせいのにほんみんわ
すみやきちょうじゃ
やまがたけん の みんわ
むかしむかし、 あるむらに、 おおがねもちの ちょうじゃが すんでいました。
ところが このちょうじゃは ひどい けちんぼうで、 ひとのために おかねを だしたことがありません。
そのくせ ただと わかると、 なんでも もらっていきます。
そして ちょうじゃは よるになると、 どぞう(→そうこ)の なかで おおばん こばんの つまった はこをあけ、 1まい 1まい かぞえるのが だいすきでした。
ところが あるひ、 いつものように おかねを かぞえていた ちょうじゃが くびを かしげました。
「おかしいぞ?」
1まいも つかったことが ないのに、 おかねの かずが たりません。
つぎのひに なると、 また おかねが へっています。
「もしかして、 ドロボウかも しれない」
そこで ちょうじゃは、 どぞうを みはることに しました。
ジッと まっていますが、 だれも やってきません。
ところが、 まよなかに なったころ、 どぞうのなかから ヒソヒソと はなすこえが きこえてきます。
「おや? どぞうには だれも いないはずだが」
ちょうじゃは、 どぞうのなかを そっとのぞいて ビックリ。
おかねの はこのなかから、 おおばん こばんが つぎつぎと とびだして、
「おら、 もう このいえに いるのはいやだ。 ここのだんなは、 ひとに おかねを めぐむということを しらない」
「そうだ、 そうだ。 ためるばかりで つかうことをしない。 こんないえ、 はやく にげだしてしまおう」
と、 はなしあって いるではありませんか。
ちょうじゃは あわてて、 どぞうのなかに とびこみました。
「まて! おまえたちは わしのものだ。 どこへも いかさんぞ!」
すると おおばん こばんは いっせいに うごきだして、 ジャラジャラと そとへ でていきました。
ちょうじゃは あわてて おいかけましたが、 おおばん こばんは あっと いうまに すがたを けしたのです。
さて、 やまのおくまで にげてきた おおばん こばんは、
「にげて きたのはいいが、 どこへ おちつこうか?」
と、 たちどまりました。
すると、 こばんが いいました。
「このやまに、 すみやきの とうた と いうおとこがいる。 たいへんな はたらきもので、 おかねが なくても こまったひとの めんどうを よくみると いうはなしだ」
「そういえば このあいだも、 いっしょうけんめい すみをやいて ためたおかねを、 びょうきでねている おじいさんに そっくりあげたそうな」
と、 おおばんも いいました。
「よし、 きまった。 みんなで とうたのところへ いこう」
そんなこととは しらない とうたが、 つぎのあさ、 おきてみると どうでしょう。
すみごやの まえに、 おおばん こばんが やまのように つみかさなって いるでは ありませんか。
とうたは おおよろこびで おおばんこばんを ひろいあつめると、 さっそく やまをおりて、 こまっているひとたちみんなに わけてあげました。
それから のこったおかねで いえをたて、 およめさんを もらいました。
きまえのいい とうたは まちで ひょうばんになり、 とうたの うるすみが とぶように うれました。
やがてとうたは むらいちばんの おかねもちになり、 みんなから すみやきちょうじゃと よばれるように なったということです。
おしまい
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