
  福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話 > おかしな手紙
2月21日の日本民話
  
  
  
  おかしな手紙
  福岡県の民話 → 福岡県情報
 むかしむかし、山道でタヌキとキツネが遊んでいると、むこうから風呂敷づつみをかかえた男の子がやってきました。
   それを見つけたタヌキが言いました。
  「おいキツネどん、あの風呂敷づつみの中には、何が入っていると思う?」
  「そうだな。おもちか、おはぎだと思う」
  「どうだい。あれをいただいては」
  「よしきた。そんなら、ちょっとおどかしてみるか」
   キツネは頭の上に葉っぱをのせると、クルリと飛んで、たちまち大入道に化けました。
  「やい、そこの子ども! その風呂敷づつみをおいていけ! いうことをきかないと、お前を食べてしまうぞ!」
   いきなり飛び出してきた大入道を見て、男の子はビックリ。
   風呂敷づつみを投げ捨てて、ころがるように山道をおりていきました。
  「あははは。だらしのない子どもだ」
   キツネはもとの姿にもどると、その風呂敷づつみをひらきました。
   中には、まっ白のおもちがどっさりと入っています。
   それを見たタヌキが言いました。
  「こりゃ、うまそうだ。二人で食べよう」
   でもキツネは、タヌキにおもちをやるのがおしくなりました。
   うまいぐあいに、おもちの横に手紙があります。
  「まてまて、何やら書いてあるぞ」
   キツネは、手紙を取りあげました。
  「そうか、なるほど、なるほど」
  「キツネどん、なんて書いてあるんだ?」
  「自分で読んでみろよ」
   キツネは、タヌキに手紙を渡しましたが、タヌキは字が読めません。
  「キツネどん、すまんが読んでくれないか」
  「いいとも」
   キツネは自分も字が読めないくせに、すました顔で読むふりをしました。
  「このおもちはタヌキが一つ食べ、残りは全部キツネが食べること」
  「ええっ、そんなことが書いてあるのか?」
  「気の毒だが、あきらめてくれ」
 キツネはガッカリしているタヌキにおもちを一つ渡すと、残り全部を一人で食べてしまいました。
おしまい