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4月12日の日本民話
ヒヒと力くらべをした源助
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むかしむかし、黒部(くろべ)の山おくでは、突風(とっぷう)が起こって木こりたちを空中に投げとばしました。
これはこの地にすむヒヒが木を切らせないように、木こりたちを追い払おうとしているためです。
さて、この黒部の山おくに、源助(げんすけ)という木こりの親分(おやぶん)がいました。
たいそう力持ちで、イノシシでも素手(すで)でなぐり殺すほどです。
ある日の事、この源助が作兵衛(さくべえ)という木こりを連れて奥山に入ったところ、すさまじい突風が吹きつけたので、ひとまず山をおりることにしました。
ふと後ろをみると、ついてきているはずの作兵衛がいません。
いそいで引き返してみると、ヒヒが大きな手で作兵衛の体をつかみ、からだを引きさこうとしているではありませんか。
「おのれ! お前なんぞに作兵衛を渡してなるものか!」
源助はこういうと、とび上がって作兵衛の足をつかみ、ヒヒから引き離そうとしましたが、これがなかなか離れません。
作兵衛の手足からしたたる血で、源助は血まみれです。
源助とヒヒとの力くらべは、一晩じゅう続けられました。
しかし、夜明けになるとヒヒが根負けして、作兵衛をはなして谷の向こうに消えていきました。
源助は作兵衛を介抱(かいほう)して家にとどけると、すぐ奥山にもどって、谷一番の大木を切りました。
あのヒヒをよびだして、勝負の決着をつけようと言うのです。
でも源助におそれをなしたのか、それからヒヒの姿は見られませんでした。
おしまい