|
|
1ねんせいのにほんみんわ
くわずにょうぼう
ぐんまけん の みんわ
むかしむかし、 あるところに、 とても けちな おとこが すんでいて、 いつも こういっていました。
「ああ、 しごとを うんとするが、 ごはんを たべない よめさんが ほしいなあ」
そんなひとが いるはずないのですが、 あるとき、 ひとりの おんなが おとこのいえを たずねてきて、
「わたしは ごはんをたべずに、 しごとばかりする おんなです。 どうか、 よめに してくださいな」
と、 いうでは ありませんか。
それを きいた おとこは おおよろこびで、 おんなを よめに しました。
おとこの よめに なった おんなは、 とてもよく はたらきます。
そして、 ごはんを まったく たべようと しません。
「ごはんは たべないし、 よく しごとを するし、 ほんとうに いいよめじゃ」
ところが あるひ、 おとこは いえの こめだわらが すくなくなって いるのに きがつきました。
「おや? おかしいな。 よめは ごはんを たべないはずだし」
とりあえず、 おとこは よめに きいて みましたが、
「いいえ。 わたしは しりませんよ」
と、 いうのです。
あんまり へんなので、 つぎのあさ、 おとこは しごとに いくふりをして、 いえの てんじょうに かくれて みはっていました。
すると よめは、 くらから こめを 1ぴょう かついできて、 どこからか もってきた おおきなカマで いちどに こめを たきあげました。
そして しおを 1しょう(→1.8リットル) よういすると、 おにぎりを つぎつぎと つくって、 やまのように つみあげたのです。
(おまつりじゃ あるまいし、 あんなに たくさんの おにぎりを つくって、 どうするつもりだ?)
おとこが ふしぎそうに みていると、 よめは あたまの かみのけを ほぐしはじめ、 あたまの てっぺんの かみのけを かきわけました。
すると あたまの てっぺんが ザックリと われて、 おおきなくちが ひらいたのです。
よめは そのくちへ、 おにぎりを ポイポイ、 ポイポイと なげこんで、 こめ1ぴょうぶんの おにぎりを ぜんぶ たべてしまいました。
こわくなった おとこは ブルブルと ふるえましたが、 よめに きづかれないように てんじょうから おりると、 しごとから かえったような かおして いえの とを たたきました。
「おい。 いま、 かえったぞ」
すると よめは、 いそいで かみのけを たばねて あたまの くちを かくすと、
「あら、 おかえりなさい」
と、 えがおで おとこを でむかえました。
おとこは しばらく むごんでしたが、 やがて けっしんして いいました。
「よめよ、 じつは きょう、 やまに いったら やまのかみさまから おつげが あってな、 『おまえの よめは ええよめだが、 いえに おいておくと とんでもないことになる。 はやく いえから おいだせ』と、 いうんじゃ。 だから すまないけど、 でていってくれんか?」
それを きいた よめは、 あっさりと いいました。
「はい。 でていけと いうのなら、 でていきます。 でも おみやげに、 ふろおけと なわを もらいたいのです」
「おお、 そんなもので いいのなら、 すぐに よういしよう」
おとこが いわれたものを よういすると、 よめさんが いいました。
「この ふろおけの そこに あなが ひらいていないか、 みてもらえませんか?」
「よしよし、 みてやろう」
おとこが ふろおけの なかに はいると、 よめは ふろおけに なわをかけて、 おとこを いれたまま かつぎあげました。
ビックリした おとこが よめのかおを みてみると、 よめは なんと、 おにばばに かわっていたのです。
おにばばは おとこを ふろおけごと かついだまま、 ウマよりも はやく かけだして、 やまへと はいっていきました。
(こ、 このままじゃあ、 ころされる! じゃが、 どうしたら?)
おとこは どうやって にげようかと かんがえていると、 おにばばが きに よりかかって ひとやすみしたのです。
(いまじゃ!)
おとこは その きのえだに つかまって、 なんとか にげだすことが できました。
さて、 そうとは しらない おにばばは、 また すぐにかけだして おにたちがすむ むらへ とうちゃく しました。
そして、 おおきなこえで なかまを あつめます。
「みんなこい! うまそうな にんげんを もってきたぞ」
なかまの おにが おおぜい あつまって きましたが、 ふろおけの なかを のぞいてみると、 なかは からっぽです。
「さては、 とちゅうで にげよったな!」
おこった おにばばは やまみちを ひきかえし、 すぐに おとこを みつけました。
「こらまてー!」
「いやじゃ! たすけてくれー!」
おにばばの てが おとこの くびに かかる すんぜん、 おとこは くさむらへ とびこみました。
すると おにばばは、 おとこの とびこんだ くさむらが こわいらしくて、 くさむらの なかに はいってこようとは しませんでした。
おとこは ブルブルふるえながら、 いっしょうけんめいに ねんぶつを となえます。
おにばばは くさむらの まわりを ウロウロしていましたが、 やがて あきらめて かえっていきました。
「た、 たすかった。 ・・・しかし、 なんで たすかったのじゃろう?」
じつは おとこの とびこんだ くさむらには、 しょうぶ(→サトイモかの たねんせいそう。 はっぱは つるぎじょうで 80センチほど)が いっぱい はえていたのです。
おにばばは しょうぶの はっぱが かたなに みえて、 はいって これなかったのです。
そのひが ちょうど 5がつ5にち だったので、 いまでも 5がつ5にちの せっくには、 まよけとして やねへ しょうぶを さすところが あるのです。
おしまい
|
|
|