
  福娘童話集 > きょうの日本民話 > 6月の日本民話 > ウサギを追っ払ったキツネ
6月20日の日本民話
  
  
  
  ウサギを追っ払ったキツネ
  岐阜県の民話 → 岐阜県情報
 むかしむかし、あるところに、とてもりこうなおじいさんが住んでいました。
   ある日の事、畑にきてみるとウサギがたくさんいて、せっかくうえたなっぱのめを食べていました。
  「こら、何をする!」
   おじいさんはあわててウサギを追っぱらいましたが、おじいさんの姿が見えなくなるとウサギはすぐにとびだしてきて、なっぱのめを食べはじめるのです。
  (何とか、ウサギをやっつける工夫はないものか?)
   おじいさんは、いっしょうけんめい考えました。
  「そうだ、いいことがあるぞ」
   次の日、おじいさんは畑に立てふだを立てました。
   するとそこへキツネがやってきて、立てふだを読みました。
  「なになに、『キツネのくせになっぱのめを食べるな。これはわしの物だ』だと。わしがいつなっぱのめを食べたというのだ。人のせいにするなんてとんでもないやつだ。とっちめてやる」
   はらをたてたキツネは草むらにかくれて、立てふだを書いた犯人が来るのを待ちました。
   するとウサギたちがやってきて、なっぱのめを食べはじめたのです。
   キツネは、草むらからとびだして言いました。
  「やい、よくもわしを悪者にしてくれたな。そんなやつは殺してやるから、かくごしろ!」
   ウサギたちは、何のことかわかりません。
   でも、キツネに殺されては大変ですので、大あわてで逃げていきました。
   それでもキツネは、くやしくてなりません。
  「ばかにするな!」
  と、言って立てふだをひきぬくと、メチャクチャにたたきこわして山へもどっていきました。
  (しめしめ、うまくいったぞ)
   さっきからこのようすをかくれて見ていたおじいさんは、また畑になっぱのタネをまきました。
 そんなことがあってから、ウサギたちはもう二度と、畑へやってこなかったという事です。
おしまい