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4年生の日本民話(にほんみんわ)
心のやさしい一休さん
滋賀県(しがけん)の民話(みんわ)
むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判(ひょうばん)の小僧(こぞう)さんがいました。
その一休さんが、大人になったころのお話です。
一休さんが近江の国(おうみのくに→滋賀県(しがけん))のあるお寺にいたとき、左の目がわるい一人の老人(ろうじん)が、夢(ゆめ)の中に現(あらわ)れていいました。
「わたしは、三年前に死んだ喜介(きすけ)ともうします。となり村にすむ角助(かくすけ)の父親で、いまはキジに生まれかわっています。何日かあとに、この地の役人がタカ狩(が)りをします。わたしは追われて、このお寺へ逃(に)げこんできます。そしたらどうか、かくまってください。わたしは人間だったとき、左の目をけがで失(うしな)いました。生まれかわっても、左の目は見えません」
老人(ろうじん)は泣(な)きながら、そう語りました。
何日かたつと、お寺のある山里で、大がかりなタカ狩(が)りが始まりました。
するとタカに追われたキジが、羽をバタバタさせながら飛(と)んできて、お寺の庭に落ちました。
それを見た一休さんは、夢(ゆめ)の話を思いだしたのです。
キジの左の目を見ると、まっ白です。
一休さんはそのキジをかかえると、お寺の土間(どま)へ走り、お釜(かま)の中に入れてふたをしました。
狩(か)りがおわると、一休さんはキジをつれて、となり村の角助の家をたずねていきました。
そしてキジの話を、くわしくきかせました。
角助はキジをもらいうけると、父親の生まれかわりだというそのキジを、一生たいせつにかいつづけたという事です。
おしまい
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