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10月19日の日本民話
  
  
  
  ネズミをたいじするには
  高知県の民話 → 高知県情報
 むかしむかし、たいさくという、とんちの名人がいました。
   ある日の事、町へ行っての帰り道で、日がくれてしまいました。
   でも、どこの家へ行ってもとめてはくれません。
   そこで、おばあさんが一人で住んでいる家をさがして、
  「今夜一晩、とめてくれ」
  と、たのみました。
   すると、おばあさんは、
  「うちにはネズミがドッサリといて、とてもねていられないよ」
  と、言いました。
  「なに? ネズミだと。ネズミならわしが一匹のこらず退治してくれよう」
   たいさくは、胸をたたきながら言いました。
  「そいつはありがたい。さあ、えんりょせずにとまっていっておくれ」
   喜んだおばあさんは、たいさくを家にあげると、お酒やごちそうまで出してもてなしてくれました。
   なるほど、おばあさんの言うように、ネズミが天井うらを走りまわっています。
   でもたいさくはお酒をたくさん飲んで、ぐっすりとねむりこんでしまいました。
   さて、翌朝、たいさくが急いで帰ろうとするので、おばあさんがあわてて言いました。
  「お前さん、ネズミ退治はどうした?」
   するとたいさくは、すました顔で言いました。
  「そんなことは簡単(かんたん)さ。ネコを五、六匹かえばいい」
  「ネコをかえだと? ネコをかうことぐらい、わしだって知っている」
   おばあさんはカンカンにおこりましたが、たいさく平気な顔で、
  「知っているなら聞かなくていい。はい、お世話になりました」
と、言って、さっさと帰っていったのです。
おしまい