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3年生の世界昔話(せかいむかしばなし)
ピーター・パン
バリの童話(どうわ)
♪音声配信(html5) |
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音声 得本綾(コトリボイス) ラジオHP |
ある日の夜、とつぜんウェンディーのへやのまどから、男の子が飛(と)びこんできました。
「あなたは、だあれ?」
「ぼくはピーター・パン。夢(ゆめ)の国ネバーランドからむかえにきたんだ。さあ、いっしょにぼうけんに出かけよう」
いっしょにいた弟のジョンとマイケルも、ぼうけんと聞いて大喜(おおよろこ)びです。
「ネバーランドって、どうやっていくの?」
「飛(と)んでいくんだ。妖精(ようせい)のティン力ー・ベルの羽の粉(こな)をつけると、空を飛(と)ベるんだよ」
「わあ、ほんとうだ。すごーい!」
「ネバーランドは、二つめの角を曲(ま)がって、あとは、どこまでもまっすぐのところさ」
空高く飛(と)んでいくみんなの目には、家がおもちゃのように小さく見えます。
いくつもの夜が過(す)ぎ、いくつもの朝がきました。
とつぜん、ピーターがさけびました。
「ごらん、あれがネバーランドだ。あの黒い船は海賊船(かいぞくせん)だよ。あそこにいるのが、恐(おそ)ろしいフック船長。昔(むかし)、フックは、腕(うで)と時計をワニに飲(の)みこまれたんだ。だからチクタク音をたてて、ワニが出てくると、まっさおになって逃げ出(にげだ)すよ。アハハ」
島(しま)では、子どもたちが待(ま)っていました。
「ピーター、お帰りなさい。・・・この人は、だあれ?」
子どもたちがかけ寄(よ)ると、ピーターはいいました。
「ウェンディーだよ。ぼくたちのお母さんになってくれるんだ」
ピーターの家は、地面(じめん)の下にあります。
せまいけれど、あたたかくて、すてきなところです。
たっぷり遊(あそ)んでつかれると、ウェンディーお母さんが、おやすみ前のお話をしてくれます。
昼間は、湖(みずうみ)や森の探検(たんけん)です。
でも、海賊船(かいぞくせん)が、いつも遠くからながめています。
フック船長が、子どもたちをねらっているからです。
ある日、ウェンディーが言いました。
「パパとママに、会いたいな。おうちに帰りたい」
「フン! 帰りたいなら、勝手(かって)にすればいい!」
ピーターはすねて、どこかへ飛(と)んでいってしまいました。
「ウェンディー、いっちゃ、いやだ!」
子どもたちが、泣(な)きだしました。
その時、突然(とつぜん)、フック船長が現(あらわ)れました。
「フフフフフフッ。ピーターはおらんな。よし、野郎(やろう)ども、子どもたちをつかまえろ!」
子どもたちは、つぎつぎにつかまってしまいました。
「大変(たいへん)よ、ピーター。みんながつかまったわ」
ティンカー・ベルが、大あわてで知らせました。
「よし。ワニになって、フックをおどかしてやる」
チクタク、チクタク。
ピーターは時計の音をたてながら、海に飛(と)びこみ、泳(およ)ぎだしました。
「フフフフフフッ。もうすぐ、おまえたちは、海の底(そこ)だ」
後ろ手にしばられた子どもたちを見て、フック船長はごきげんです。
と、そこにふしぎな音が。
チクタク、チクタク・・・・・・。
「ワ、ワッ、・・・ワニだあー!」
フック船長は、あわてて隠(かく)れました。
子どもたちが、こわごわ海をのぞいてみると。
「あっ!」
船にあがってきたのは、ピーターでした。
ピーターは、子どもたちをつぎつぎに助け出(たすけだ)しました。
もちろん、たいせつなウェンディーも。
「うぬぬ、ワニかと思えば、おまえだったか」
おこったフック船長がピーターに飛(と)びかかり、船の上ですさまじいたたかいがはじまりました。
身(み)の軽(かる)いピ一ターが、短剣(たんけん)をビュン!
それをよけたフック船長が、バランスをくずして。
「うわああー!」
フック船長は、海で大口をあけていたワニに、食べられてしまいました。
これで海賊船(かいぞくせん)は、ピーターのものです。
ティンカー・ベルが妖精(ようせい)の粉(こな)をかけると、海賊船(かいぞくせん)は、フワリと空に浮(う)かびました。
いくつもの夜が過(す)ぎ、いくつもの朝をむかえ、船はウェンディーたちの家へと進(すす)みました。
そして、ようやく家へ着(つ)くと、ウェンディーたちは、まどから子どもベやに飛(と)びこんで、待(ま)っていたお母さんにとびつきました。
「だまって出ていって、ごめんなさい。ピーターと、ぼうけんに出ていたの」
後ろをふりかえると、ピーターと海賊船(かいぞくせん)は、もときたみちを、帰るところでした。
飛(と)んでいくピーターを見送(みおく)りながら、ウェンディーたちは、少し悲(かな)しくなりました。
そんなウェンディーたちに、ピーターは、明るく手をふると、
「ぼうけんをしたいときは、いつでもよんで。すぐにむかえに行くから。では、また会おう」
ピーター・パンは、今もネバーランドに住(す)んでいます。
いつの日か、あなたのへやにも、飛(と)んでくるかもしれませんよ。
おしまい
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