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7月21日の世界の昔話
ほらふき男爵 冬のロシアの旅
ビュルガーの童話 → 詳細
わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく→詳細)。
みんなからは「ほらふき男爵」とよばれておる。
きょうは、冬のロシアヘ旅行したときの話をしよう。
日はとっぷりと暮れて、一面の雪野原。
あたりには人家もなかった。
そこで雪の上に出た杭(くい)にウマをつなぐと、雪をベッドに一夜を明かしたのじゃが、朝起きてみて驚いた。
わがはいのウマが、教会の屋根の風見(かざみ→風向きをしる道具)にぶらさがっておるのじゃ。
考えるに、わがはいがウマをつないだのは、そもそもあの風見で、朝になって雪がとけだしたものだから、わがはいは道にしずみ、ウマは屋根にとり残されてしまったのだろう。
わがはいは鉄砲をうってウマの手綱(たづな)を切り、愛馬をやっと取り戻した。
さて、雪のロシアでウマの旅はやっかいだとわかったので、わがはいはウマにソリをしたてて旅を続けた。
するとな、ある森の中で一匹のオオカミ(→詳細)におそわれたのだ。
わがはいは、あわててソリに身をふせたが、オオカミのねらっていたのは、わがはいではなくウマのほうで、オオカミはウマのしりに食らいつくと、みるみるウマを食いはじめ、からだの中にもぐっていってしまった。
ウマはくるったように走りつづけ、わがはいがムチを打つと、ウマの中のオオカミも、くるったように走りつづけた。
そしてしまいには、ウマの皮がスルリとぬけおちると、馬具におさまったオオカミが、ウマのかわりに雪をけちらしておったのじゃ。
こうしてオオカミは、ウマのかわりに走りに走って、わがはいを目的地まで運んでくれたのじゃ。
そのときの町行く人々のおどろいた顔は、まことにけっさくじゃったよ。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい