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クマとおばあさんとシャオホン

クマとおばあさんとシャオホン
中国の昔話 → 中国のせつめい

 むかしむかし、あるところに、おばあさんと女の子がすんでいました。
 女の子の名まえは、シャオホンといいます。
 二人は、とてもびんぼうでしたが、とてもしあわせでした。
 ある年の春。
 おばあさんは、畑にダイコンのタネをまきました。
「どっさりダイコンをつくって、どっさりシャオホンに食べてもらおう」
 おばあさんは、まがった腰(こし)をたたきながら、毎日毎日、畑の草をとり、水をまき、こやしをふりかけました。
♪はやく、なれなれ。
♪でっかいダイコン。
♪うんとなれなれ。
♪でっかいダイコン。
 夜も昼もはたらきつづけて、やがて秋になりました。
 ところがどうしたわけか、ダイコンは、たったの三本しかはえてきません。
 おばあさんは、シャオホンにいいました。
「いつまでもガッカリしていても、ダイコンはふえやしない。一本目のほそいダイコンは、わたしが食べて、二本目の中くらいのは、となりのおばあさんにやって、三本目の太いダイコンは、シャオホンにあげようね」
 おばあさんが川で三本のダイコンをあらっていると、山のてっぺんからクマがかけおりてきました。
「おい、そのダイコンをよこせ! よこさないと、シャオホンをたべてしまうぞ!」
「ひぇー! はっ、はい、どうぞ」
 おばあさんは、細いダイコンをクマにあげました。
 クマは、そのダイコンを一口で食べると、
「まだ腹(はら)がへってるぞ。それもよこせ」
 おばあさんは、中くらいのダイコンもあげました。
 クマは、そのダイコンを二口で食べると、
「まだ腹(はら)がへってるぞ。それもよこせ」
 するとおばあさんは、太いダイコンをしっかりとかかえていいました。
「このダイコンはシャオホンのだから、やれん」
 そのとき、むこうから、物売りがやってくるのが見えました。
「ようし。それではこんや、シャオホンをくいにいくぞう」
 クマはどなると、あわてて山へかけあがっていきました。
 おばあさんがダイコンをかかえて、オイオイと泣いていると、そこへやってきたのは針(はり)売りです。
 つづいて、ばくちく売りと、油売りと、エビ売りと、石うすをかついだ男が、ぞろぞろやってきました。
「おばあさん。なにを泣いているんだい?」
「それは・・・」
 おばあさんは、いままでのことをすっかり話してしまうと、またオイオイと泣きだしました。
 針(はり)売りと、ばくちく売りと、油売りと、エビ売りと、石うすをかついだ男は、よし、よし、とうなずいて、まず、針(はり)売りがおばあさんに針(はり)をわたしました。
 それから、ばくちく売りは、ばくちくを、油売りは油を、エビ売りはエビを、石うすをかついだ男は石うすを、おばあさんの前にわたしました。
「これで、なまいきなクマをやっつけてしまえ!」
「でもなあ、こんなものもらっても・・・」
 おばあさんは家に帰ると、針(はり)と、エビと、油と、ばくちくと、石うすをほうりだして、オイオイと泣きました。
「シャオホンや。どうしたらいいだろうね」
 シャオホンはしばらく考えていましたが、やがて元気よくいいました。
「だいじょうぶよ。おばあさん。わたしにいい考えがあるわ」
 夜になりました。
 山のてっぺんからクマがおりてきて、シャオホンの家の前でどなりました。
「おい。あけろ!」
 シャオホンとおばあさんは、ベッドの下にかくれてだまっています。
「おい。あけろったら!」
 クマは、ドン! と、戸をたたきました。
 そのとたん、クマは、
「うわっ。いててて!」
と、とびあがりました。
 クマの手には、針(はり)がなん本もつきささっています。
 かしこいシャオホンが、針(はり)を戸にさしておいたのです。
 クマはカンカンにおこり、戸をメリメリふみやぶって、へやの中にとびこみました。
「シャオホンは、どこだ?」
 クマは、台所をのぞきました。
 かまどには、ナベがかかっています。
 クマがナベのふたをとると、中からエビがとび出てきて、手のハサミでクマの鼻をパチン!
「うわっ。いたたた! こいつめ。はなせえー!」
 でも、エビはクマの鼻にぶらさがって、なかなかはなれません。
 うんうんとひっぱって、やっとエビをはなすと、ナベの中にたたきつけました。
「このエビめ。ナベでにて、くってやる!」
 クマは、まっ赤にはれあがった鼻をさすりながら、かまどに火をつけました。
 すると、かまどの中からばくちくがとび出して、
「パパーン!」
 クマの目玉にとびこみました。
「ウヒャー!」
 クマは目をつぶされて、おおあわてです。
「なんにも見えん! おれの目玉はどこへいった?」
 クマは、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ。
♪目玉よ、目玉。
♪どこにいる?
♪いたら、へんじをしておくれ。
 クマのへんな歌があまりにもおかしいので、シャオホンは思わず、「プッ」とふきだしてしまいました。
「だれだ! いま笑ったのは! ははあーん、シャオホンだな」
 クマはシャオホンにむかって、ノッシノッシと近づいてきます。
「ああ、クマがくる。シャオホン、どうしよう?」
 おばあさんは、ふるえ声でいいました。
 ところがシャオホンは、手をポンポンとたたきながら、
「クマさんこっち。手のなるほうヘ」
と、はやしたてるのです。
「こいつめ。おれをバカにしくさって。いますぐくってやるぞう」
 クマはうなりながら、ノッシノッシと近づいてきます。
「ああ、シャオホン。どうしよう? クマがくるよ」
 おばあさんは、大声でさけびました。
 クマは立ちどまると、
「ははん。おばあさんもそこにいるな。おまえもシャオホンもくってやる」
「やめておくれ。くうのはわたしだけにしておくれ」
 おばあさんは、手をあわせてたのみました。
 けれどクマは、
「だめだ、だめだ。もう、かんべんできん」
と、いうと、シャオホンにとびかかろうとしました。
 そのとき、ツルリンと足がすべって、ドタンと床(ゆか)にひっくりかえりました。
 かしこいシャオホンが、床(ゆか)に油をこぼしておいたのです。
 クマはあおむけにひっくりかえったまま、ツルツルとすべっていきます。
 どんなにおきあがろうとしてもだめです。
 ツルツルすべって、柱にぶつかりました。
 そしてぶつかったひょうしに、柱の上から石うすが落ちてきて、クマはおせんべいのようにペチャンコになりました。
 シャオホンとおばあさんは、ペチャンコになったクマをひきずって、うらの池にポチャンとなげこむと、笑いながら帰ってきました。

おしまい

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