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10月16日の世界の昔話

とびっこ

とびっこ
アンデルセン童話 → 詳細

 むかしむかし、ノミ(→詳細)と、バッタと、おもちゃのカエルとが、だれがたかくとべるかということで、じまんしあいました。
「それは、ぼくがたかくとべるさ」
と、ノミがいいました。
「いやいや、ぼくのほうが、たかくとべるさ」
と、バッタはまけずにいいました。
「あなたがたより、ぼくのほうがたかくとべますよ」
 おもちゃのカエルも、そういいました。
「ぼくが、たかくとべる」
「いや、ぼくだ」
と、みんながいうので、きりがありません。
「それなら、だれが一ばんたかくとべるか、とびっこをしてみようじゃないか」
と、いうことにきまりました。
「できるだけ大ぜいの人をよんで、見てもらったほうがいい」
と、ノミがいいますと、
「ああ、いいとも」
と、バッタもカエルもさんせいしました。
 この話しを、王さまもおききになって、
「わしも見にいこう」
と、いったのです。
 そればかりか、
「せっかくたかくとんでも、ほうびがなくてはつまるまい。一ばんたかくとんだものに、わしの娘をお嫁さんにあげるとしよう」
と、いうことになったのです。
 さあ、とびっこきょうそうは、たいへんなひょうばんになりました。
 その日になると、見物人がたくさんあつまりました。
 まっさきにでてきたのは、ノミくんでした。
 きどったようすで、四ほうにむかっておじぎをしています。
 つぎに、バッタがでました。
 おしゃれな草色の服をきて、とてもきれいでした。
 さいごには、カエルがでてきました。
 カエルはとびでた目玉を、クルクルクルクルまわします。
 いよいよ、とびっこがはじまりました。
 ところがノミが、あんまりたかくとんだので、だれもそのいくさきがわからなくなってしまいました。
 それで、
「とばなかったのじゃないか?」
 そんなことを、いうものもありました。
 バッタは、王さまの顔にとびつきました。
 王さまは、おこってしまいました。
 おもちゃのカエルはピョンとはねて、お姫さまのひざにあがりました。
「キャアーー!」
 お姫さまはおどろいてたちあがったので、ひざのカエルはコロリところげおちました。
 これでとびっこは、しょうぶなしでおしまいになりました。

おしまい

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