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11月4日の世界の昔話
  
  
  
  虹の鳥
  オーストラリアの昔話 → 国情報
 むかしむかしの大むかし、すベての鳥がまだ黒っぽい、灰色をしていたころのお話です。
 ある日、空に虹(にじ)が出ました。
 見ると、虹に黒いシミがいっぱいできていました。
 いったいどうしたのかと、鳥たちはふしぎに思いました。
 すると、天から七色にかがやく鳥がまいおりてきて、鳥たちにいいました。
  「虹にわるいムシがくっついて、きれいな虹の色を食いつくそうとしています。いっしょにやっつけてください」
 勇気のある鳥たちは、すぐにいっしょに行くといいました。
 けれども、虹はとても遠いところにあって、行くのはたいへんです。
 いやだという鳥も、たくさんいました。
 それで行きたい鳥だけが、天からきた鳥といっしょに出発しました。
 鳥たちは、こおりつくようなさむさの中を、雨やあらしもこえてとびつづけました。
 みんなボロボロになって、やっと虹にたどりつきました。
  「これはひどい! 虹がムシでいっぱいだ」
 鳥たちは、虹にくっついたムシにおそいかかりました。
 ムシは鳥たちの羽の間にもぐりこんでチクッとさしたり、目をつつきにきたりしました。
 長くとんでつかれていた鳥たちには、とてもつらいたたかいでしたが、鳥たちはなんとか勝ちました。
 ムシたちは、黒いかたまりになっておちていきました。
 みんな、ホッとして顔を見あわせると、どうでしょう。
 どの鳥も、きれいな色の羽になっているのです。
 むちゅうでムシとたたかっている問に、虹の色が体にこすりつけられていたのです。
 天の鳥がいいました。
  「虹の色はけっしておちません。みなさんのうつくしいすがたは、子どもや孫にもずっとつたわるでしょう」
 みんなは、大よろこびで地上にもどりました。
 地上にのこった鳥たちは、虹にむかった鳥たちがたたかいにやぶれて、ボロボロになって帰ってくるとばかり思っていました。
 ところがみんな、光りかがやくようなうつくしいすがたになっているのです。
 黒っぽい鳥たちは、みすぼらしい自分のすがたがとてもはずかしくなり、コソコソかくれてしまいました。
   今でも、きれいな鳥とそうでない鳥がいるのは、こういうわけなのです。
おしまい