|
|
4年生の世界昔話
雪娘(ゆきむすめ)
ロシアの昔話 → ロシアのせつめい
むかしむかし、さむい北の国に、おじいさんとおばあさんがすんでいました。
「おじいさん、たった二人きりですと、さびしいですねえ」
「そうだね。せめて、子どもでもいれば・・・」
おじいさんとおばあさんには、子どもが一人もいなかったのです。
「ほら、外を見てごらん。子どもたちが雪遊びをしているよ」
まどから外を見ると、雪が一面につもっていて、子どもたちが大きな雪だるまをつくっていました。
「おばあさん。わたしたちも雪だるまをつくろう」
「そうですねえ。でもおじいさん、それならば、ボウシをかぶって、手ぶくろをはめて、長ぐつもはいている、かわいい女の子をつくってみましょうよ」
「うん、そうしよう」
おじいさんとおばあさんは、うれしそうに外へ出ると、庭(にわ)のまん中に雪を集めて、それはかわいい、本物そっくりの雪の女の子をつくりました。
「さあ、この子になんていう名まえをつけようか?」
「そうですねえ」
おばあさんが、いったときです。
「わたしは、カーチャ」
とつぜん、その雪の女の子が口をきいて、おじいさんとおばあさんに飛(と)びついてきたのです。
白いほっペたは、みるみるピンク色になり、炭(すみ)でつくった黒髪(くろかみ)と大きな黒い目は、本当の黒髪(くろかみ)と目になりました。
おじいさんとおばあさんは、大喜(おおよろこ)びです。
さっそく、女の子を家に連(つ)れてくると、
「カーチャ、おまえはうちの子だよ」
そういって、洋服をつくってやったり、リボンをむすんでやったり、新しい長ぐつを買ってやったりして、それはそれは大切に育てることにしたのです。
ところが、冬が終わって春がきて、雪がすっかりとけてしまうころになると、女の子はなんだか元気がなくなって、家の中でジーッとすわっているのです。
やがて、北の国にも夏がやってきました。
「カーチャ、森へ遊びにいきましょう」
近所の友だちが、女の子をよびにきました。
「いやよ。外はあついんですもの」
「まあ、カーチャ、森へいけばすずしいわ。小川の水はつめたくて、いい気持ちよ」
みんながいうと、おじいさんとおばあさんもいいました。
「そうだよ、カーチャ。たまには外で遊んでおいで」
そこで女の子は、しぶしぶ、みんなと森へ出かけていきました。
でも、ほかの子は、お日さまの下で花をつんだり、走ったりしているのに、女の子はたった一人、一日じゅう小川で足をひやしていました。
「カーチャったら、おかしな子ね」
タ方になって、森の向こうにお日さまがしずみました。
「さあ、今度はたき火をして、みんなでたき火のとびこえっこをしましょう」
と、だれかがいいました。
「わたしが一番よ」
「わたしが二番よ」
三番めが飛(と)んで、四番めが飛(と)んで、
「あら、カーチャがまだね」
とうとう、女の子の番になりました。
「どうしたのカーチャ、飛(と)ばないの? 飛(と)ベないの? こわいの?」
女の子が、いつまでたっても、ジーッとたき火の火を見ているので、みんながいいました。
「わかったわ。カ一チャは、たき火がこわいのよ。弱虫(よわむし)なのよ」
「そうよ、そうよ。カーチャは弱虫よ」
女の子は、みんなを見ました。
「・・・弱虫じゃないわ」
女の子は、とうとう決心をして、火の上を飛(と)びこえました。
ピョーン。
「ごらんなさい、飛(と)んだでしょ。弱虫じゃないわ」
ところが女の子は、たき火を飛(と)びこしたかと思うと、みるみるピンク色のほっペたが白く、うすくなって、やがて手も足もからだも消えてしまいました。
寒い冬の雪から生まれた女の子は、ちょうど、雪がとけるように消えてしまったのです。
おしまい
よくにた話しが、日本にもあります。→とけてしまった雪ん子
|
|
|