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12月23日の世界の昔話

みそさざいとクマ

みそさざいとクマ
グリム童話 →詳細

 むかしむかし、あるところに、クマとオオカミ(→詳細)が森にいました。
 どこからか、美しい鳥の歌声が聞こえてきます。
「あれは鳥の王さま、みそさざい(→スズメ目ミソサザイ科の鳥。非常に小さく、翼長約5センチ)だよ」
 オオカミが言いました。
「へぇ、鳥の王さまのお城ってどんなだろう。見てみたいな」
 オオカミがとめるのも聞かず、クマはみそさざいの巣(す)をのぞき込みました。
 ちょうど、王さまの鳥もおきさきさまの鳥も、出かけていていませんでした。
 クマは、るすばんをしている子どもの鳥を見てわらいました。
「アハハハ。ずいぶんとみすぼらしいお城だな。それに、王さまの子どももさえない子どもだよ」
 みそさざいの子どもたちはおこって、王さま鳥にそのことをいいました。
 王さま鳥は、すぐにクマをよびだして言いました。
「よくもわたしの子どもたちをバカにしてくれたな。たたかって決着(けっちゃく)をつけよう」
 それで、クマとみそさざいは、たたかうことになりました。
 クマは、ウシやウマやロバ(→詳細)やシカなど、森の動物を味方につけました。
 みそさざいは、鳥やアブやハチやハエなど、空を飛ぶもの味方につけました。
 たたかいの前の日、アブはキツネがクマにこんな話をしているのを聞きました。
「ぼくのこのフサフサしたしっぽを立てたら、みんなドンドンすすんでたたかうことにしよう。でも、しっぽを下げたら急いで逃げる合図だよ」
 アブはすぐに、みそそざいのところに飛んでいって、今の話をみんなに話しました。
 さて、たたかいの日が来ました。
 スズメバチはみそそざいに言われたとおり、キツネのしっぽをねらいました。
 ハチに思いっきりさされて、キツネはビクッとしましたが、しっぽを下げてしまったら、なかまが逃げてしまうので、痛いのをがまんしてしっぽを立てていました。
 でも、二度目にさされたときには、少しだけしっぽをおろしてしまいました。
 三度目にさされたときは、もうがまんできずに、キツネはしっぽを巻いて逃げ出しました。
 これを見て、動物たちもみんな逃げ出しました。
 こうして、鳥のなかまはたたかいに勝ったのです。
 クマは、みそそざいの親子にあやまりました。
 みそさざいの親子はそれでやっと気分がよくなって、クマをゆるしてあげました。
 その日は夜遅くまで、みんなでゆかいにすごしました。

おしまい

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