昔話の英語《Hukumusume fairy tale collection》昔話の英語 日本語昔話の英語《Hukumusume fairy tale collection》 Hukumusuem fairy tale collection
 


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朱の盤の化け物

しゅ の ばん の ばけもの

(にほんのむかしばなし)

♪にほんごのろうどく
TIME 3:49   ろうどく 創作活動のサイト 『Web団 零点』



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 むかしむかし、たび の さむらい が ひとり、むらはずれ の さみしい のはら に さしかかりました。

 この あたり には、『しゅ の ばん』と よばれる ようかい が でる との うわさ です。

「ああ、ひ は くれてくるし、こころぼそい なあ。ばけもの に あわねば よいが」

 さむらい が あし を はやめる と、

「しばらく、おまち くださらんか」

と、うしろ から、よびとめる もの が います。

 さむらい が おそるおそる ふりかえる と、そこ に いたのは じぶん と おなじ ような たび の さむらい でした。

 あみがさ を かぶって いる ので かお は わかりません が、さむらい に まちがい ありません。

「さしつかえ なければ、ごいっしょ ねがいたい のですが」

「そうですか。じつ は わし も みちづれ が ほしかった のです。

 この あたり には『しゅ の ばん』 とか いう ばけもの が でる との うわさ ですから。・・・きいた こと が ありませんか?」

 すると、あと から きた さむらい が、

「ああ、きいた こと が ありますよ。

 なんでも それは、こんな ばけもの だそうで」

と、いって、かぶっていた あみがさ を、パッ と とりました。

 すると そこから あらわれた のは、ごばん の ように かくばって いる、しゅ に そまった、まっかな かお で、

 かみのけ は まるで はりがね の ように ごつごつ しており、おおきな くち は みみ まで さけています。

 そして ひたい には、つの が はえて いました。

 これは まさしく、しゅ の ばん の ばけもの です。

 さむらい は、

「うーん!」

と、め を まわして、きぜつ してしまいました。

 そして しばらく してから、はっ と われ に かえった さむらい は、むがむちゅう で のはら を かけぬけて いき、

 やがて みえてきた いえ に とびこみました。

「おたのみ もうします!」

 すると その いえ には、おかみさん が ひとり いるだけでした。

「まあまあ、いかがなされた の ですか?」

「まず は みず を いっぱい、のませて いただきたい」

「はい、ただいま さしあげますよ」

 おかみさん は だいどころ の みずがめ の ひしゃく を とって、さむらい に わたしました。

 いっき に それ を のんだ さむらい は、おかみさん に はなしました。

「じつ は、のはら で みちづれ が できた と おもったら、しゅ の ばん の ばけもの だったのです」

「おや、それは おそろしい もの に あいましたね。

 しゅ の ばん に あうと、たましい を ぬかれる と いいますから。

 ・・・して、その しゅ の ばん と いう のは、もしや、こんな かお では ありません でしたか?」

 おかみさん は、ひょいっ と かお を あげました。

 そこに あった のは、しゅ に そまった しかくい かお に、みみ まで さけた くち に、はりがね の ような かみのけ に、ひたい の つの です。

「うーん!」

 さむらい は、またまた きぜつ してしまい、つぎ の ひ に なって われ に かえりましたが、

 しゅ の ばん に たましい を ぬかれた のか、みっかご に しんで しまった と いうことです。

おしまい

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