8月10日の日本の昔話
彦一のウナギつり
むかしむかし、彦一(ひこいち→詳細)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
ある日のこと、彦一は、肥後(ひご→くまもとけん)の国ざかいの川へ、ウナギつりにでかけました。
けれど、この日はどうしたことか、ウナギがさっぱりつれません。
つれる場所をさがして、川の上流へ上流へとのぼっていくと、いつのまにか、となりの国の領地(りょうち)に入ってしまいました。
「まあ、だれにもみつかりはすまい」
彦一がつりはじめると、こんどは、おもしろいようにつれます。
するとそこに、となりの領地のさむらいが、やっぱりウナギつりにきて、彦一をみつけました。
「やい、やい、彦一。ここは、わしの殿さまの領地の川じゃ。おまえがつったウナギを、のこらずよこせ」
ところが、彦一はあわてません。
「おらは、八代(やつしろ)の川を、大きなウナギが何百匹ものぼるのをみて、それをつりにきたまでじゃ。八代のおれが、八代のウナギをとって、どこがわるいか」
と、いいました。
「それはそうだが、八代のウナギと、わしの領地のウナギとを、どうしてみわけることができる。へりくつをぬかすな」
「いいや、みわけるなど、わけはありません」
彦一は、大きなウナギをつりあげると、
「これは、八代からのぼってきたやつ」
じぶんのビク(→さかなを入れるカゴ)に、ポイと入れ、小さいのがかかると、
「これは、そちらのウナギ」
さむらいのビクにポイと投げ入れました。
そうして彦一は、大きいウナギだけをもってかえりました。
おしまい
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