10月1日の日本の昔話
かぐやひめ
むかしむかし、竹を取ってくらしている、おじいさんがいました。
ある日、おじいさんが竹やぶに行くと、根元が光っている、ふしぎな竹を見つけました。
「ほほう、これはめずらしい。どれ、切ってみようか。えい! ・・・うん? これは!」
おじいさんがその竹を切ってみると、なんと中に、小さな女の子がいたのです。
子どものいないおじいさんとおばあさんは、とてもよろこびました。
そして、その子を「かぐやひめ」と名付けて、大切に育てたのです。
かぐやひめは大きくなるにしたがって、たいそう美しくなりました。
そして年頃になると、
「どうか、かぐやひめをお嫁さんにください」
という、若者がたくさんやってきました。
中でも特に熱心な若者が五人いました。
みんな、立派な若者です。
でも、かぐやひめはお嫁に行くつもりはありません。
そこでかぐやひめは、困ってしまい、
「では、私が言う品物を持ってきて下さった方のところへ、お嫁に行きましょう」
と言って、世にも珍しいと言われる品物を一人一人に頼みました。
五人の若者はそれぞれに大冒険をしましたが、かぐや姫の望んだ品物を手に入れたものは、一人もいませんでした。
なんとか五人の若者を追い返したかぐやひめですが、かぐやひめのうわさは、とうとうみかどの耳にも入りました。
「ぜひ、かぐやひめを后(きさき)に欲しい」
みかどはそう願いました。
おじいさんとおばあさんは、
「すばらしいむこさんじゃ。これ以上のむこさんはない」
と、大喜びです。
かぐやひめは、なんとかことわろうと思いましたが、みかどに逆らえば、殺されてしまうかもしれません。
それ以来、かぐやひめは毎晩毎晩、悲しそうに月を見上げては泣いていました。
おじいさんとおばあさんが心配してわけをたずねると、かぐや姫は泣きながら言いました。
「じつは、わたくしは月の世界のものです。今まで育てていただきましたが、こんどの満月の夜には、月へ帰らなくてはなりません」
それを知ったみかどは、満月の夜、何千人もの兵士を送って、かぐや姫の家の周りを守らせました。
何とかして、かぐやひめを引きとめようとしたのです。
けれど、真夜中になって月が高くのぼると、兵士たちはとつぜん、ねむってしまいました。
かぐや姫はその間に、月の使いの車にのって、月に帰ってしまいました。
おじいさんもおばあさんもみかども、たいそう悲しんだと言うことです。
おしまい
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