きょうの江戸小話
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2月12日の小話

寒い国

寒い国

 冬の町かどで、二、三人寄って、話をしておりました。
「今年は、ひどく寒うございますな」
「いやいや、このぐらいでは、まだまだ寒いほうではありませんよ。加賀の国(かがのくに→石川県)のほうでは、小便をするにも、出るそばからうちおってしなければ、ぼうのようにこおってしまって、しまつにこまるそうです」
 それをきいていた、もうひとりの男が、
「もっとめずらしい話では、こんな話がありますよ。越後の国(えちごのくに→新潟県)では、酒などは、ハカリではかっては売らぬそうです。何でも、あみぼうであんでから売るそうですよ」
「ほほう、そのようなめずらしい話は、きいたことがありませんな。それで、どのようにしてあみますのかな」
「それは、まず酒を板の上に、チョロチョロと流せば、糸のように細長くこおります。それをかたっぱしからおこして、あむのだそうです」

おしまい

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