11月15日の日本民話
スズメの身がわり
三重県の民話
江戸の終わり頃、三重のある村の庄屋さんが、夢のお告げをきいて目をさましました。
「三日後の夜に、大嵐がやってくる。このあたりの人がたくさん死ぬ運命だが、さいわい、村のスズメたちが身がわりになるそうだから、安心するように」
庄屋さんはどうしたらよいかわからないまま夜が明けるのをまって、近くのお寺へ出かけていきました。
そして親しくしている和尚さんに、夢の話をしました。
すると和尚さんは、
「なんと! じつは、わしも昨日の晩、そなたとまったく同じ夢のお告げをきいたんじゃ」
と、いうではありませんか。
そこで二人は、少しでも村の被害が少なくすむようにと、お寺のご本尊の薬師如来(やくしにょらい)に祈る事にしました。
やがて三日後、夕方から強い風がふきだし、夢が告げた通り家がゆれるほどの大嵐になりました。
翌朝、大嵐がさった村の様子を、二人は見に行きました。
すると、村人たちに被害はほとんどありませんでしたが、スズメたちのねぐらがある竹林にいってびっくり。
なんと竹林の中では足のふみ場もないほどに、数千羽にものぼるたくさんのスズメが死んでいたのです。
庄屋さんと和尚さんは手を合わせると、村人たちの身代わりになったスズメたちの冥福を祈りました。
おしまい
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