きょうの日本民話
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2008年 12月31日の新作昔話
鬼がつくった鬼の面
京都府の民話
むかしむかし、丹後(たんご)の国分寺(こくぶんじ)に、下働きの夫婦が住み込んでいました。
この夫婦は実にまじめで、とてもよく働くのですが、ただ一つだけ不思議なことがありました。
それは、この寺の和尚さんが留守のときに限って、米やまきの減る量がとても多いのです。
これを怪しんだ和尚さんが、ある日のこと、出かけるふりをして台所のすみに隠れると、この夫婦の様子をこっそり見ることにしたのです。
和尚さんが出かけたと思った夫婦は、
「やれやれ、やっと和尚さんも出かけてくれたぞ。ではいつものように、たっぷり飯を食べることにしよう」
と、台所の大釜に米を一斗(いっと→十八リットル)あまりも炊いて、それをペロリとたいらげると、今度はいろりに薪(まき)を次々とくべて、気持ち良さそうに寝ころんだではありませんか。
大きないびきをかいて昼寝をする二人に腹を立てた和尚さんが、どなりつけてやろうと思ったその時、眠っていた二人の姿が急に変わり始めました。
夫婦の顔はまっ赤になり、口は耳までさけて、髪の毛がザワザワ動いたかと思うと、頭から角がにょっきりと出てきたではありませんか。
和尚さんは驚きのあまり、思わず叫び声をあげました。
「鬼じゃ!」
この声に目をさました夫婦は、自分たちの正体を見られた事を知ると、台所にあった太い薪に鋭いツメをたてながら、鬼の夫婦は自分たちの顔をあっという間に彫り上げて、そのまま姿を消してしまったのです。
「あの鬼、もしや人間になりたくて、ここで働いていたのでは」
和尚さんが鬼の彫り上げた面を拾ってみると、その鬼の顔は何ともやさしい顔をしていたそうです。
おしまい
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