9月24日の世界の昔話
ほら吹き男爵 犬皮のチョッキ
ビュルガーの童話 → ビュルガーの童話について
わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日は、わがはい自慢のチョッキの話をしてやろう。
わがはいがロシアの都ペテルブルグで、ある古い友人をたずねた時、友人は再開の記念に一匹の猟犬をくれた。
その猟犬は、以前に話したダイアナや風犬よりも、さらに優秀な猟犬だった。
しかし鉄砲の腕の下手な猟師に貸してやったばかりに、猟犬はそいつに撃ち殺されてしまったのだ。
まったく、かわいそうな事をしたものだ。
わがはいは国に帰ると、そいつの魂をなぐさめるために、その猟犬の毛皮でチョッキをつくった。
それが、いま着ているこれだ。
このチョッキは不思議なチョッキで、このチョッキを着ていけば猟に行くのに猟犬がいらないのだ。
なぜなら忠実なるわがはいのチョッキは、だまっていても獲物のいる場所へ、わがはいの足を向けさせてくれる。
そして射撃の出来る近くまで来ると、わがはいの足は一人でに止まり、チョッキからボタンが飛んでいって獲物のいる場所を教えてくれる。
そこを狙って引き金を引けば百発百中で、どんな猛獣だって逃れる事は出来ないのだ。
昨日も猟に出かけたから、ごらんの通りこのチョッキには三つのボタンしか残っていない。
だが、次に猟へ行くまでにはボタンを二列ほどつけたして、多くの獲物を仕留めるつもりだ。
その時はまた、わがはいをたずねてきたまえ。
取れたての獲物を、ごちそうしてやろう。
今日の教訓は、『ペットには、最大の愛情をそそいでやる事』だ。
ペットというものは、愛情をそそげばそそぐほど、それに答えてくれるものだ。
育てるのがめんどうだと言って、ペットを捨てたりするのは言語道断だ。
きみたちもペットを飼ったら、そのペットが天国へ旅立つ日まで、愛情を込めて育ててやるのだぞ。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい
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