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3月10日の日本の昔話
八人の真ん中
八儕人个中央
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福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
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投稿者 「すまいるきっき」 すまいるきっき
むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
頭擺頭擺,有一個人安到彥一,非常伶俐。
ある日の事、お城から彦一のところへ、こんな知らせが届きました。
有一日,對城肚送一張告示來彥一戴个位所。
《若さまの誕生祝いをするから、庄屋(しょうや)と他に村の者を六人合わせた八人で城へ参れ。人数は、きっかり八人で来るように》
《為著慶祝後生公子个生日,莊主摎其他六儕村民鬥等總共八儕,來城肚參加。人數堵好八儕。》
それを知った庄屋さんは、大喜びです。
莊主接著通知後非常歡喜。
「お城からお呼びがかかるとは、ありがたい事だ」
「分城主喊著還感恩哦。」
しかし彦一は、その手紙を見ながら考えました。
毋過,彥一緊看信仔緊想:
「八人きっかりと、念を押しているところがあやしいな。あの殿さまの事だ、また何か企んでいるに違いないぞ」
「吩咐堵好八儕人還奇怪哪!定著城主有麼个陰謀。」
さて、お城へ行く日になりました。
去城肚个日仔到了。
彦一と庄屋さんは、村人の六人と一緒に言いつけ通りの八人でお城に向かいました。
彥一、莊主摎六個村民,照規定个八儕人共下去城肚。
庄屋さんと彦一以外の六人は、生れて初めて入るお城に緊張しています。
莊主摎彥一以外該六儕,從生人毋識去過城肚,有兜緊張。
「お城では、どんなごちそうが出るんだろう?」
「城肚有當多好食个東西敢?」
「おら、ごちそうの食べ方なんて、知らねえぞ」
「𠊎!食飯禮儀方面𠊎毋清楚。」
「おらもだ。失礼があったら、どうしよう?」
「𠊎乜共樣。有失禮个所在仰結煞哪?」
すると、彦一が言いました。
彥一斯講:
「大丈夫。庄屋さんの真似をすればいいんだよ」
「無問題,莊主仰般做大家斯恁仰做就好咧。」
「そうか、それもそうだな」
「有影無,該也有道理喔!」
そう言っている間に、八人はお城の大広間に通されました。
講等講等,八儕就行到大人客間。
大広間では、すでに若さまのお誕生日を祝う会が始まっています。
人客間肚,後生公子个生日慶祝大會早斯開始。
正面の高いところから殿さま、奥さま、若さま、そして大勢の家来たちやお付きの人たちが並んでいます。
正面較高个位所有城主、夫人,後生公子、當多管家還有隨從,歸堆人排歸列。
その前に進み出た庄屋さんが、深々と頭を下げてあいさつをしました。
在頭下先落去个莊主,頭那低下來,問候請安。
「若さまのお誕生日、おめでとうございます」
「公子大人生日快樂。恭喜!」
「おう、参ったか。うむ、きっかり八人で来たな。わははは」
「喔!來了係無?m11,堵堵好八儕人。哇哈哈...。」
殿さまの笑い声からすると、やはり何かをたくらんでいる様子です。
城主大人个笑聲聽起來,有麼个陰謀樣。
「さあ、苦しゅうないぞ。遠慮なく、こっちへ参れ。若もその方が、喜ぶからな」
「毋會苦哪。毋使煩勞,過來這。公子盡歡喜!」
言われて彦一たちが前に進み出ると、殿さまはニヤリと笑いながら言いました。
彥一兜聽著恁樣講就向前一息仔,城主笑咪咪講:
「ああ、それから彦一に、注文をいたすぞ。
「啊,恁樣過後摎彥一訂好囉。
彦一は、並んだ八人のちょうど真ん中に座る様にいたせ。
請彥一,坐在八儕人个正中央。
よいな。それが出来なければ、すぐに帰るがよい」
好無,假使做毋著就好轉去了。」
やはり彦一たちを八人で呼んだのは、殿さまのはかりごとだったのです。
原來指定八儕來,係城主大人个陰謀。
家来やお付きたちはみんな飲み食いを止めて、彦一がどうするかと見つめました。
管家、隨從全部停止啉酒、食飯,看彥一仰結煞。
人数が五人とか七人とか九人だったら、ちょうど真ん中に座る事が出来ます。
人數若係五儕、七儕無斯九儕就有辦法坐在中央。
けれど八人では、そうはいきません。
毋過八儕斯困難了。
「あの小僧。知恵者だと評判だが、どうするつもりだろう?」
「該個細沙彌毋係大家認為當有智慧,打算愛仰般做?」
「しかし殿さまも、お人が悪い。八人ではどう考えても、真ん中に座れないではないか」
「毋過城主大人你當壞。八儕人你仰般想乜無辦法坐在中央係無?」
それを聞いた庄屋さんは、彦一のそでを引いて言いました。
莊主大人聽佢恁仰講斯拉彥一个衫袖講:
「彦一。八人ではどう考えても、真ん中に座るのは無理だ。ここは、謝って帰ろう」
「彥一,愛你想出在八儕人中央个辦法盡無理。好了,你兜好轉去了!」
でも彦一は、ニッコリ笑って殿さまに言いました。
彥一笑笑摎城主講:
「殿さま。わたしが真ん中に座れば、どのような座り方をしてもいいのですか?」
「城主大人,斯愛坐在中央,毋管𠊎仰般坐係無?」
「ああ、良いとも。ただし、上に重なったりしては駄目だ」
「啊!做得,毋過做毋得疊等。」
「承知しました」
「知。」
彦一は振り返ると、庄屋さんや村人たちに言いました。
彥一倒轉去向莊主摎村民講:
「みんなでわたしを囲んで、丸く座って下さいな」
「大家圍等𠊎排做一圈坐下來。」
みんなは言われた通り彦一を中心(ちゅうしん)にして、丸く車座(くるまざ→輪になって座る事)に座りました。
大家照彥一講个圍等彥一坐一个圓圈仔。
これなら七人でも八人でも、ちゃんと真ん中に座る事が出来ます。
恁樣形毋管七儕人八儕人全部做得坐在中央。
それを見た殿さまは、思わず手を叩いて言いました。
莊主看著該黏時拍手。
「うむ、あっぱれ! 彦一よ、この勝負はそちの勝ちじゃ!」
「m11,還慶喔!彥一啊,你贏咧!」
殿さまの言葉に、家来も庄屋さんたちも大喜びです。
聽著城主个話,管家、莊主大家當歡喜。
こうして彦一のとんちのおかげで、庄屋さんたちみんなはおいしいごちそうにありつける事が出来たのです。
打幫彥一个伶俐,莊主、村民大家正有一餐豐沛好食。
おしまい
煞咧
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