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10月29日の日本の昔話
しずが浦のタヌキ
shizu(しず)係海岸个貍仔
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、青海島(おうみしま)というところに、一人の漁師が八歳になる娘と二人で暮らしていました。
頭擺頭擺,一隻安到青海島个位所,一個打魚郎摎厥妹仔共下過日仔。
娘の名前は『おしず』で、とても心やさしい娘です。
妹仔个名仔安到『oshizu(おしず)』,非常善良个人。
ある日の事、この島に来た猟師が子ダヌキを生け捕りにしました。
某日,打獵个人來到這隻島,捉著一條生生个貍仔子。
猟師はお昼ご飯に、その子ダヌキをタヌキ汁にしようと考えました。
打獵个人打算摎貍仔子煮貍仔湯食晝傍。
するとこれを見たおしずが子ダヌキを可愛そうに思って、父親にせがんで子ダヌキを買い取ってもらったのです。
看著這个oshizu,試著貍仔子恁衰過,斯去求厥爸摎貍仔子買起來。
おしずは子ダヌキを裏山に連れて行くと、逃がしてやりました。
oshizu渡等貍仔子去到深山肚後,放佢走。
「もう、人間に捕まったら駄目だよ」
「毋好再過分人捉著哦。」
おしずのおかげで命拾いをした子ダヌキは、何度も何度も頭を下げて山奥へと帰って行きました。
打幫oshizu正拈轉一條命个貍仔子,一遍過一遍再三行禮承蒙後行轉深山。
さて、それから十年後。
十年後。
戦に破れて傷を負った一人の若い落武者が、この島に逃れて来ました。
一個因為戰爭著傷个後生敗兵,逃到這隻島來。
それを見つけたおしずが親身になって看護した為、やがて落ち武者の若者は元気になり、それが縁で二人は夫婦になったのです。
看著該个oshizu親身看顧,無幾久後生敗兵就好了,斯這緣份兩儕結公婆。
ですが、やがて落ち武者狩りが始まり、追手がこの島までやって来たのです。
但係,無幾久後生敗兵開始去打獵,毋過追兵追到這隻島來。
そこで父親は二人を舟に乗せると、こっそりと九州へ逃がしてやりました。
所以爺仔喊佢兩公婆坐船仔偷偷逃去九州。
二人がいなくなり一人ぼっちになった父親は、とてもさびしい毎日を送りました。
兩儕無在身邊个爺仔,逐日過著非常孤栖。
そんなある寒い夜の事、父親が家に帰ってみると、不思議な事に家の中は灯りがともり、ろばたの火が温かく燃えていたのです。
有一隻當冷个暗晡,爺仔轉到屋下看著奇怪个事情,屋肚仰會火點到光光,火爐火乜起好。
「おや?一体誰が?」
「唉哦?到底係麼儕?」
父親が家の中を見てみると、なんとそこには十年前のあのタヌキが、父親の大好きなどぶろくを持って座っていたのです。
爺仔試探看屋肚時節,仰會十年前該條貍仔子,拿等粗酒坐在該。
父親がさびしい毎日を送っている事を知ったタヌキが、父親をなぐさめようとやって来たのでした。
知著爺仔逐日過著非常孤栖个貍仔子,想愛安慰爺仔特別走轉來。
それからタヌキは、毎日どぶろくを持って父親の家にやって来ました。
自該擺以後,貍仔子逐日拿等粗酒來爺仔屋下。
しばらくしたある日、九州へ行ったおしず夫婦が、父親を迎えに島へ帰って来ました。
過一站仔,某日,走去九州个oshizu兩公婆,為著愛迎接爺仔轉到島來。
「お父さん、九州で新しい家を見つけました。そこで一緒に暮らしましょう」
「阿爸,在九州尋著新屋,來去該位共下生活。」
そして満月の晩、三人は舟に乗って九州へ行く事にしました。
過後,某隻滿月个暗晡,三儕坐船仔去九州。
その時、あのタヌキが裏山に駆け上り、三人を見送りながら腹包みを打ち鳴らしたのです。
該當時,該條貍仔追到深山肚,一片送佢三儕一片打響肚屎鼓。
♪ ポンポコポン
♪ ponpokopon
♪ポンポコポン
♪ ponpokopon
♪ポンポコポンのポンポン
♪ ponpokopon no ponpon
それ以来、タヌキは満月になると九州へ行った三人を思い出すのか、三人が舟で旅立った浜には満月になるとタヌキの腹包みが鳴りひびいたそうです。
自該以後,滿月个時節貍仔會係想起去九州該三儕無?去三儕坐船仔去九州个海岸,打響滿月肚屎鼓。
人々はその浜をおしずの名前を取って、『しずが浦』と呼ぶ様になりました。
大家摎該海岸用oshizu名仔安到『shizu』海岸。
おしまい
煞咧
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