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第 229話

キツネの化けた橋

キツネの化けた橋
京都府の民話京都府情報

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 むかしむかし、余内村の与助という人が、田辺のご城下の親戚へお祝いごとで出かけて行きました。
 そして両手にいっぱいのお土産をもらい、夜道を帰って行ったのですが、いつも通る伊佐津川の橋が、二つ並んでかかっているのです。
「はて、橋は一本のはずだが、二つもかかっているぞ。・・・ちと、飲み過ぎたかな?」
 与助は不思議に思いながらも、二本の内の一本に足をかけると、すたすたと渡っていきました。
 すると橋のまん中ほどで、いきなり橋が消えてなくなり、与助は真っ逆さまに橋の下へと落ちていったのです。
 さいわい下は草地だったので、怪我はありませんでしたが、不思議な事に持っていたお土産の料理やお酒がなくなっていたのです。
 そこを、ちょうど通りかかった町の魚屋が、与助を助け出して言いました。
「与助さん、もしかして、橋が二つに見えたのではないですか?」
「ええ、そうなんですよ。そして、その一方の橋を通ろうとしたら、こんな事になりました」
「やはり。そいつは、キツネの仕業ですよ。ついこの間も、村人がだまされていましたよ」

 さて、この話が広まってからは、余内の人たちは夜歩きする時に着物のそでに小石を入れておいて、もし二つの橋が見えたときは、その両方の橋に小石を投げるのだそうです。
 そして、
♪コツン
と、石の音がする方が本当の橋で、何も音のしない方は、キツネが化けた橋だといわれています。

おしまい

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