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第 242話

お腹に噛みついた豆

お腹に噛みついた豆
高知県の民話高知県情報

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 むかしむかし、長兵衛という人が町で塩と豆とござと水車を買いました。
 そして買った品をかごに入れて、てんびん棒でかついで行きました。

「うーん。買ったはいいが、重くてかなわんわい。どれ、一休みするか」
 長兵衛は肩からてんびん棒をおろして、川のそばへ腰をかけました。
 するとそこへ、ウサギとタヌキとサルとカワウソがやってきました。
 長兵衛が買ってきた物を見たウサギが、仲間たちに言いました。
「わしがあの人間をだまして逃げるから、きみたちはその間に水車とかごを取ってくれ」
 ウサギは長兵衛の前にぴょんと飛び出すと、わざと足を引きずって走りました。
(おっ、けがをしたウサギだ。あれなら、簡単に捕まえられるぞ)
 長兵衛はてんびん棒を振り上げて、ウサギを追いかけました。
「それ、今のうちだ!」
 タヌキとサルとカワウソは、残されたかごと水車を転がして逃げていきました。

 やがて、長兵衛から逃げたウサギが帰ってきました。
「よしよし、大成功だな。
 さあ、みんなに取った物を分けてあげよう。
 カワウソくんは、カニを食うから塩だ。
 塩をつけて食べると、おいしいぞ。
 サルくんは、昼寝をするからござだ。
 ござの上で寝ると、気持ちいいからな。
 タヌキくんは、穴で寝るから水車だ。
 戸口に置くとくるくる回って、おもしろいよ。
 わしは・・・。
 仕方ない、残り物の豆でがまんしておこう」

 塩をもらったカワウソは、大喜びで川へ飛び込みました。
 ところがカニを捕まえている間に、もらった塩はすっかり溶けてしまいました。

 サルは岩にござをしいて寝ようとしたのですが、つるつる滑ってうまく眠れません。
 そのうちに、つるん滑って、川へ落ちてしまいました。

 タヌキは戸口に水車を置きましたが、水車が戸口をふさいで思うように出入りが出来ません。

「なんだ、なんだ。ウサギのやつ、うまい事を言って一番良い物を一人じめにしたな!」
 カワウソもサルもタヌキも、カンカンに怒ってウサギのところへ行きました。
「やいやい。欲張りウサギめ! よくもわしらをだましたな! わしらにも豆をよこせ!」
 すると、おいしそうに豆を食べていたウサギは、あわてて豆をお腹の上にはり付けて泣き出しました。
「わーん、いたい、いたいよー!」
 みんなは、びっくりです。
「ウサギくん、どうしたんだ?」
 するとウサギは、泣きながらお腹の豆を指差しました。
「わーん。
 豆を食べようとしたら、豆がいきなりお腹に噛みついてきたんだ。
 きみたちも豆に噛みつかれないうちに、早く逃げた方がいいよ。
 ああーっ、いたい、いたいよー」
 それを見て、カワウソもサルもタヌキもあわてて逃げて行きました。

おしまい

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