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第 337話

文吾のへそ岩

文吾のへそ岩
長野県の民話長野県情報

日本語 ・日本語&中国語

 むかしむかし、文吾(ぶんご)という、とても力持ちの子どもがいました。

 ある時、文吾の母親が庭先で風呂に入っていると、急に大雨が降ってきました。
「大変、早く家に入らないと」
 文吾の母親が裸のまま出ようとすると、文吾がやってきて言いました。
「母ちゃん。おらが運ぶから、そのまま風呂に入っていなよ」
 そして母親の入った風呂おけをひょいとかついで、軒下まで運んでいったのです。

 それから二、三日した頃、文吾は庄屋さんの言いつけで江戸へ行くことになりました。
 その途中、上城(かみしろ→長野県飯田市)とよばれる所までやってきたとき、大きな岩が道をふさいでいたのです。
 近くの村人たちが大勢あつまってその大岩をどかそうとしますが、村人たちがいくら押しても引いても大岩はびくともしません。
 それを見た文吾が、村人たちに言いました。
「どいてな。おらがどかしてやるから」
 そして村人たちの見ている前でひょいと大岩を持ち上げると、そばの谷にポーンと投げこんだのです。

 こうして江戸での用事をすました文吾は、帰り道にまた上城を通りかかりました。
 するとまた大勢の村人たちが集まって、大騒ぎをしています。
「今度はなんだ?」
 村人に話を聞いてみると、この前に文吾の投げたあの大岩が谷川をせきとめてしまったため、上流の家が水びたしになっているというのです。
「そいつは、悪いことをしたな。よし、岩をもっと遠くへ持っていくか」
 文吾はそう言いながら谷川に入って行き、流れをふさいでいる大岩をひょいと抱きかかえると、そのまま天竜川(てんりゅうがわ)の河原まで運んで行ったのです。

 この文吾が運んだ大岩は今でも天竜川の河原にころがっていて、その岩のまん中あたりにへこんだ跡があるそうです。
 それは大岩を運んだときについた、文吾のおへその跡だということです。

おしまい

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