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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >せかいむかしばなし(世界民间故事) >九月

お百姓とエンマさま

お百姓とえんまさま
农民和阎王爷


(中国の昔話)
(中国童话)

翻訳者 信陽師範学院  我愛麻衣醤

♪音声配信(html5)
朗読者:☆横島小次郎☆

にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文

 むかしむかし、中国には、地獄のえんま大王をまつるお祭りがありました。
 在很久很久以前的中国,有为供奉地狱的阎王爷而举行的祭祀。

 その日になると村人たちはえんまさまに、たくさんのおそなえ物をするのです。
 每到那天,村子里的人都会为阎王爷准备很多的供品。

 そうすれば自分が死んだ時、えんのさまが罪を軽くしてくれて地獄行きにならないかもしれないと思っていたからです。
 大家都认为,这样做的话在自己死去的时候,阎王爷就会减轻自己的罪孽,也许就不用到地狱去了。

 ところがえんまさまは、大変な欲張りです。
 但是,阎王爷是个十分贪婪的人。

 おそなえ物が多い時はきげんが良いのですが、おそなえ物が少ないと口をへの字にまげて文句を言います。
 供品多的时候心情就很好,但供品少的时候就咧着八字形的嘴不停抱怨:

「また、おそなえ物が少ないぞ! けしからん! ケチケチするのは、どこのどいつだ?」
“怎么供品又这么少!?真是岂有此理!这么小气的是哪里来的家伙?”

 えんまさまは手下の小鬼(こおに)に命令して、誰のおそなえ物が多くて誰のおそなえ物が少ないかを調べるように言いました。
 阎王爷命令手下的小鬼,让它们调查到底谁的供品多,谁的供品少。

 そこで小鬼は、えんまさまのお堂の物かげにかくれて、一日中見張りを続けました。
 于是小鬼们,就去了阎王爷大殿的暗处躲着,一整天都守在这监视着。

 そして夜になると、えんまさまに報告しました。
 到了夜里,就去向阎王爷报告。

「一番おそなえ物が多いのは、やっぱり村一番のお金持ちですよ。ヒツジやブタを、丸ごとそなえていきました。
“不用说交的供品最多的就是村里最有钱的那个财主,供奉着一整头的猪和羊。

 それに比べて一番ケチなのは、いつもこのお堂の前を通る百姓(ひゃくしょう)です。
 相反最小气的,就是常常在大殿前来往的农民。

 とうふとごはんを、ほんのチョッピリそなえただけです」
 只供奉了一点点的豆腐和白饭而已。”

「うーむ。あの百姓か。よーし、うんとひどい目にあわせてやるぞ!」
“原来是这样,是那个农民么,那好吧,一定要让他倒个大霉!”

「それなら、あの百姓の作るイネが実らないように、頭がほそくて根っこがふとくなる術をかけてやったらどうです?」
“那么,让那个农民种的稻子一个籽也不结,施加让稻子变的头细根粗的法术怎么样?”

「よかろう。そうすれば秋になっても米がとれずに、泣きべそをかくにちがいない」
“就这么办吧,这样的话到了秋天稻子颗粒无收,他肯定会哭的很惨!”

 こんなえんまさまと小鬼の話を、聞いていた者がいました。
 就在此时,有个人听到了阎王爷与小鬼们之间的对话。

 それはお堂に住んでいる、お堂の番人のおじいさんです。
 他就是住在这里,看守大殿的老爷爷。

 番人のおじいさんはお百姓と仲が良かったので、この話を教えてやりました。
 看守老爷爷和农民的关系很好,所以把这事告诉了他。

 すると、お百姓は笑いながら、
 听了他的话,农民笑着说:

「頭はほそくて、根っこはふとくか。よし、それならイネをつくるのはやめにして、サトイモをつくることにしよう」
“头变细根变粗是吗?那好,以后我就不种稻子了,改种芋头好了。”

と、さっそくサトイモをうえました。
 之后就开始种芋头了。

 そうとは知らない小鬼は、畑のまわりにきて、
 毫不知情的小鬼们来到地里,

「頭、ヒョロヒョロ、根っこ、ムックリ」
“头啊 快快缩 根啊 快快长”

「頭、ヒョロヒョロ、根っこ、ムックリ」
“头啊 快快缩 根啊 快快长”

と、畑のサトイモに術をかけました。
 念叨着咒语对田地施了法术。

 すると畑のサトイモはムクムクと大きくなって、いつもの年の何倍もとれたのです。
 这样一来田里的芋头全都长得又胖又大,比往年的几倍都要大。

 小鬼はこれを見てびっくり、話しを聞いたえんまさまはに、ひどくしかられました。
 小鬼们见状吓了一跳,被知情的阎王爷狠狠地训斥了一顿。

「このマヌケめ! 百姓めを喜ばしてどうする!」
“一群蠢货!这下农民那家伙要高兴了,你们怎么办!”

「へへーっ! この次はきっと、うまくやります。まんなかをふとく、りょうはしをほそくすれば、イモはちっともとれません。次はこれでやってまいります」
“是,,,是!下次我们一定会办好。让中心变粗,两端变细的话,芋头肯定一个也结不出来,下次就这样办。”

 そしてこの話もまた、番人のおじいさんが聞いていました。
 这番话,又被看守的老爷爷听到了。

 番人のおじいさんから話しをきいたお百姓は、今度はトウモロコシをうえました。
 从老爷爷那儿得知这件事的农民,这次又改种了玉米。

 そうとは知らない小鬼は、毎日のように畑に来ては、
 毫不知情的小鬼们每天都来到地里,

「りょうはし、ヒョロヒョロ。まんなか、ムックリ」
“两端 快快缩 中间 快快长”

「りょうはし、ヒョロヒョロ。まんなか、ムックリ」
“两端 快快缩 中间 快快长”

と、トウモロコシに術をかけました。
 这样对玉米施加了法术。

 するとトウモロコシはムクムクと大きくなって、いつもの年の何十倍もとれたのです。
 这样一来,玉米都长得又胖有大,比往年要大上几十倍。

 お百姓はそれを売って、上等な着物を買いました。
 农民把玉米卖掉,买了上等的衣服。

 これを見て、小鬼たちはビックリ、えんまさまはカンカンです。
 见到这样的情况,小鬼们又惊呆了,阎王爷勃然大怒。

「バカモノめが! ようし、こうなったら来年は、てっぺんから、つまさきまで、大木のようにふとくしてやれ」
“你们这群笨蛋!好啊,这样的话明年,让它从头到脚都变的像大树一样粗。”

 番人のおじいさんはこの話しを聞くと、またお百姓に知らせてやりました。
 看守老爷爷听了这番话又告诉了农民。

「しめたっ。今度はサトウキビをうえよう」
“没办法啊,那这次种甘蔗好了。”

 そうとは知らない小鬼は、仲間の小鬼たちと一緒に畑へやってくると、
 毫不知情的小鬼,和同伴们一起到田里,

「上から下まで、ムックリ」
“从上到下 都快快长”

「上から下まで、ムックリ」
“从上到下 都快快长”

と、サトウキビに術をかけました。
 这样对甘蔗施了法术。

 おかげでサトウキビはムクムクふとって、たちまち林のようになりました。
 结果拖了它们的福,甘蔗都长的胖胖的,简直像森林一样。

 お百姓はそのサトウキビを売って、とてもお金持になりました。
 农民把甘蔗卖了,成了个很有钱的人。

 これを知ったえんまさまは、小鬼たちのお尻を五十回もぶちました。
 得知此事的阎王爷,赏了小鬼们每人五十大板。

 小鬼たちは、泣きながら言いました。
 小鬼们边哭边说:

「どうか、かんべんしてください。さいごに百姓のうえたものを、頭ムックリ、下をヒョロヒョロにしてやります。今度こそ、やつもこうさんするでしょう」
“求求您,饶了我们吧,最后一次我们让农民种的东西头变大,下面变细,这次一定,那家伙一定会投降的。”

 番人のおじいさんは、これもお百姓に教えてやりました。
 看守老爷爷又把这话告诉了农民。

 するとお百姓は、にっこり笑って、
 农民听了之后,微笑着说:

「じゃあ、今度こそイネをつくるとしようか」
“这样的话,这次正好可以种稻子了”

と、畑にイネをうえました。
 然后就在田里种了稻子。

 小鬼たちは、その畑につききりでイネに術をかけました。
 小鬼们死守着田地对稻子施加法术。

「頭、ムックリ、下がヒョロヒョロ」
“头啊 快快长 下面 快快缩”

「頭、ムックリ、下がヒョロヒョロ」
“头啊 快快长 下面 快快缩”

 するとイネの穂(ほ)はみるみる大きくなり、ズッシリと重くなりました。
 结果稻子的穗子眼看着越长越大,变得沉甸甸的。

 おかげでその年は、たくさんのお米がとれました。
 多亏了它们,那年收了很多稻米。

 お百姓はそれを売ってますますお金持になり、立派な家をたてました。
 农民卖了稻子变得更有钱了,建了个相当气派的房子。

 もちろん小鬼たちは、今年もえんまさまにひどくしかられました。
 当然了,小鬼们又狠狠地被阎王爷训斥了一顿。

おしまい
完结

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