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日本の有名な話 第8話

鉢かづき姫

鉢かづき姫
大阪府の民話 → 大阪府の情報

 むかしむかし、河内の国(かわちのくに→大阪)に、ひとりの大金持ちが住んでいました。
 なに不自由ない暮らしをしていましたが、子どもだけはどうしてもさずかりません。

鉢かづき姫

 それで毎晩、長谷寺(はせでら)の観音さま(かんのんさま)に手を合わせてお願いをして、

鉢かづき姫

 ついに念願の子どもが生まれたのです。

鉢かづき姫

 その子どもはお母さんによく似た、美しい姫です。

鉢かづき姫

 ところが姫が十三才になった年、お母さんは重い病気にかかりました。
 お母さんは、姫を枕元に呼ぶと、
「わたしはまもなく遠い所へ行きます。
 わたしがいなくなるのは運命ですから、悲しむ必要はありません。
 さあ母の形見に、これを頭にのせていなさい。
 きっと、役に立ちますからね」

鉢かづき姫

 そう言って重い箱を姫の頭の上にのせたばかりか、大きな木の鉢(はち)までかぶせました。

鉢かづき姫

 そして、お母さんはなくなりました。
 お父さんは姫の頭の上の鉢を取ろうとしますが、どうしてもはずせません。

鉢かづき姫

 そのために姫は『鉢かづき』といって、バカにされたり、いじめられたりしました。

鉢かづき姫

 やがてお父さんに、二度目の奥さんがやってきました。

鉢かづき姫

 この新しいお母さんが悪い人で、鉢かづき姫にいじわるをしたり、かげ口をたたいたり、

鉢かづき姫

 最後にはお父さんをうまくだまして、鉢かづき姫を追い出してしまったのです。

鉢かづき姫

 家を追い出された鉢かづき姫は、シクシク泣きながら大きな川のほとりにやってきました。
「どこへ行ってもいじめられるのなら、ひと思いに、お母さまのそばへ行こう」

鉢かづき姫

 ドボーン!
 思いきって川の流れに飛び込みましたが、木の鉢のおかげで浮きあがってしまいました。
 鉢かづき姫は、死ぬ事さえ出来ないのです。

鉢かづき姫

 村の子どもたちが、鉢かづき姫に石を投げました。
「わーい。頭がおわん。からだが人間。お化けだぁー」

鉢かづき姫

 ちょうどその時、この国の殿さまで山陰(さんいん)の中将(ちゅうじょう)という人が、家来を連れてそこを通りかかりました。

 中将は親切な人だったので、鉢かづきを家に連れて帰ってふろたき女にすることにしました。

鉢かづき姫

 この中将には、四人の男の子がいます。
 上の三人は結婚していましたが、一番下の若君には、まだお嫁さんがいませんでした。

鉢かづき姫

鉢かづき姫

鉢かづき姫

 心のやさしい若君は、鉢かづき姫が傷だらけの手で水を運んだり、おふろをたいたりするのを見てなぐさめました。

鉢かづき姫

「しんぼうしなさい。きっと、良い事があるからね」
「はい」
 鉢かづき姫は、どんなにうれしかった事でしょう。
 こんなにやさしい言葉をかけられたのは、お母さんが死んでから初めてです。

 それから、何日か過ぎました。

鉢かづき姫

 若君は、お父さんの前へ出ると、
「父上。わたしは、あの娘と結婚しようと思います。しんぼう強く、心のやさしいところが気にいりました」
と、言ったのです。
 もちろん、お父さんの中将は反対です。
「ならん! あんな、ふろたき女など!」
「いいえ! あの娘は素晴らしい女性です。あれほどの娘は、他にはいません!」

鉢かづき姫

「素晴らしい? 他にはいないだと? ・・・よーし、では嫁合わせをしようではないか。兄たちの嫁と、あの鉢かづきを比べようではないか」
 三人の兄の嫁は、とても美しい娘です。

鉢かづき姫

 こうすれば鉢かづき姫は恥ずかしくて、自分からどこかへ行ってしまうだろうと考えたのです。

鉢かづき姫

 さて、いよいよ嫁合わせの夜がきました。

鉢かづき姫

 鉢かづき姫は思わず手を合わせて、長谷寺の方をおがみました。

鉢かづき姫

「お母さま。
 観音さま。
 今夜、嫁合わせがあります。
 お兄さま方のお嫁さんは、とても美しい姫君たちと聞きます。
 わたしの様な鉢かづきが出て行って、いとおしい若君に恥をかかせるくらいなら、いっそこのままどこかへ・・・」
 その時です。

鉢かづき姫

 今までどうしてもはずれなかった頭の木鉢が、ポロリとはずれたのです。

鉢かづき姫

 鉢の下からは、かがやくばかりの姫が現れました。

鉢かづき姫

 そして鉢の中からは、金・銀・宝石があとからあとからこぼれ出ました。

鉢かづき姫

 そこへ現れた若君が言いました。

鉢かづき姫

「やはり、あなたは素晴らしい娘だ。さあ、美しい姫よ、嫁合わせに行きましょう」
 屋敷の中では、三人の兄たちの美しく着飾った姫たちがならんでいます。

鉢かづき姫

 そこへ鉢かづき姫が、ニコニコと笑いながら現れました。

鉢かづき姫

「おおーっ」
 お父さんの中将が思わず声をあげたほどの、まぶしいばかりの美しさです。

鉢かづき姫

 中将は鉢かづき姫の手をとって自分の横に座らせると、若君に言いました。
「まったく、お前の言う通り素晴らしい娘だ。この娘を妻とし、幸せに暮らすがよい」

鉢かづき姫

「はい、父上!」
「ありがとうございます。お父さま」
 それから若君と姫は仲むつまじく暮らして、二人の間には何人かの子どもも生まれました。

鉢かづき姫

 ある時、鉢かづき姫が長谷寺の観音さまにお参りをしたときのことです。

鉢かづき姫

 本堂の片すみで、みすぼらしい姿のお坊さんに会いました。
 そのお坊さんの顔を見て、鉢かづき姫はびっくり。

鉢かづき姫

「まあ、お父さまではありませんか」
「姫、姫か!」
 二人は抱き合って、数年ぶりの再会を喜びました。

鉢かづき姫

 すっかり落ちぶれて新しい奥さんにも見捨てられたお父さんは、鉢かづき姫を追い出した事を後悔して、旅をしながら鉢かづき姫を探していたのです。
「すまなかった。本当にすまなかった」
 泣いてあやまるお父さんに、鉢かづき姫はにっこりほほえみました。
「いいえ。いろいろありましたが、今はとても幸せなのですよ」

鉢かづき姫

 それからお父さんは鉢かづき姫のところにひきとられ、幸せに暮らしました。

おしまい

イラストレーターの夢宮 愛さんが、その後のお話しを描いています。
お気軽に、お立ち寄りください。

→ その後の『鉢かづき姫』

おしまい

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