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11月8日の日本の昔話

しょうじょ寺のタヌキばやし

しょうじょ寺のタヌキばやし

 むかしむかし、山にかこまれた、しょじょ寺という小さなお寺がありました。
 山にはタヌキがいっぱいいて、夜になると寺へやってきては、はらつづみを打ったり、あばれまわったりと、いたずらのしほうだい。
 おかげで、この寺には和尚(おしょう→詳細)さんがいつかず、寺はあれほうだいです。
 身分の高い和尚さんが、この寺のことを聞いて、
「よろしい、わしがいってしんぜよう」
と、しょじょ寺へやってきました。
「うむ、これは聞きしにまさるひどさじゃ」
 あまりにもひどい寺のあれように、和尚さんはあきれ顔です。
「なんまいだあ〜、なんまいだあ〜」
 本堂から、ひさしぶりにお経が聞こえてきました。
 うら山のタヌキたちは、顔を見あわせてニヤリ。
 さっそく、新しい和尚さんを追いだす相談をはじめました。
「おい、ポン太とポン子、いつものやつ、やってみろ!」
「へ〜い!」
 ドロンパッ!
 ポン太とポン子は、なにやらすがたをかえてしまいました。
「おう、みごとじゃ。はよういって、おどかしてこい」
「へ〜い!」
 そして、
「なんまいだあ、なんまいだあ」
と、お経をあげる和尚さんのうしろに、そうっと近づいたポン太は、ぬっと顔を出しました。
「ギャアーーーー!」
 目の前にあらわれたのは、一つ目小僧です。
 そこへ、美しいむすめもあらわれて、
「和尚さん、お茶をどうぞ」
と、いいながら、首をニョロニョロとのばしてきたではありませんか。
「た、た、たすけてくれ〜っ」
 和尚さんは、寺の石だんをころがるようにかけおりて、にげだしてしまいました。
 寺の庭に集まったタヌキたちは、大わらいしながら、とくいになってはらつづみを打ちました。
 さて、つぎにあらわれたのは、力の強そうな、ごうけつ和尚でした。
 和尚が寺につくと、さっそくタヌキたちはおどかしにかかりました。
 ところが。
 一つ目小僧にばけたポン太は、頭をコツンとなぐられ、むすめにばけたポン子が首をニョロニョロのばすと、首をねじまげられるしまつです。
「うえーん、いたいよう!」
 二匹は、なきなき帰っていきました。
 タヌキの親分は考えました。
「う〜ん、あの和尚、なににばけてもこわがらん。・・・そうだ、一ばんじゅうはらつづみを打ちつづけるんだ。そうすれば和尚のやつ、ねむれなくなって、まいっちまうぞ」
 その夜、タヌキたちはいっせいにはらつづみを打ちはじめました。
♪ポンポコポンのポン!
 ぐっすりねむっていた和尚は、さすがにその音で目をさましました。
 むっくり起きあがって戸をあけると、
「こらっ! 庭であそんじゃいかん」
 タヌキたちはすばやくにげだして、木のかげにかくれてしまいました。
「こらっ、待て! こらっ、にげるな! タヌキたちのやつ、ばかにしやがって」
 和尚は、庭じゅうタヌキを追いかけまわしましたが、タヌキたちのすばやさには、とてもかないません。
 そのうち石につまずいてころんで、目をまわしてしまいました。
 こうして和尚は、またまた、タヌキたちにやられてしまったのです。
 さてさて、そのつぎにあらわれたのは、なんともきたない和尚さんでした。
 この和尚さんは、きたないこの寺をすっかり気に入ってしまいました。
「おう、しずかでいい寺じゃ」
 タヌキたちは、さっそくこの新しい和尚さんを追いだす相談です。
 いつものように、まず一つ目小僧のポン太が出ていきましたが。
「おう、これはかわいい一つ目小僧じゃあ。そら、ダンゴでも食わんか?」
 ポン太は和尚さんにダンゴをもらって、とことこ帰ってきました。
 こんどは、ポン子ねえさんです。
 ところが、和尚さんは大よろこび。
「さあ、くびの長いおねえさんも、一ぱいいこう」
と、ポン子にお酒を飲ませるしまつ。
 タヌキの親分はおこりました。
「ようし、こうなったらあの手だ」
と、いうわけで、その夜、和尚さんがねついたころ。
♪ポンポコポンのポン!
 物音で目をさました和尚さんが戸をあけると、タヌキたちがせいぞろいして、はらつづみを打っています。
「こりゃおもしろい。わしもなかまに入れてくれ」
 ずいぶんとかわった和尚さんで、庭におりてきて、タヌキたちといっしょにはらつづみを打ちはじめました。
♪ポンポコポンのポン!
♪ポンポコポンのポン!
 どうも、タヌキたちの音とはちがうようです。
「なんだなんだ、その音は。わっはっはっは」
 タヌキたちに笑われて、和尚さんは、いっしょうけんめいたたきました。
「よせよせ、はらがこわれてしまうぞ」
 タヌキの親分がとめるのも聞かず、和尚さんはたたきつづけます。
 そのうち、おなかをたたきつづけた和尚さん、とうとうフラフラになって、たおれてしまいました。
「それ、いわんこっちゃない。このままじゃ、かぜをひいてしまうぞ。和尚さんを寺の中へ運んでやれ」
 和尚さんを追いだそうとしたタヌキたちでしたが、和尚さんをしんせつにかいほうしました。
 つぎの日の朝。
「はて、わしはいつここへもどったんじゃろう。まあ、それはどうでもいいわ。もうすこしはらつづみがうまくならんといかんな」
と、いうわけで、和尚さんは朝早くから、はらつづみの練習をはじめました。
「強くたたけばいいってもんじゃねえな。コツじゃ、コツ。そいつをおぼえねば」
 和尚さんは、昼めしもそこそこに、またはらつづみのけいこです。
 やがて、おてんとさまが西にかたむくころ、和尚さんのおなかは、かなりいい音が出るようになっていました。
 さて、今夜は満月です。
 和尚さんもタヌキたちも、早くから寺の庭にせいぞろいして、みんなで楽しくはらつづみです。
♪ポンポコポン、ポンポコポン。
♪ポンポコポンの、スッポンポン。
 和尚さんのおなかの音がずいぶんよくなったので、タヌキたちも負けてはいられません。
「和尚さんに負けるな、負けるな」
と、ひっしでおなかをたたいているうちに、タヌキの親分のおなかは、どんどんふくれていきました。
 それでもたたきつづけます。
 バーン!
 とうとうおなかがはれつして、タヌキの親分は、ひっくりかえってしまいました。
「こりゃ、たいへんじゃあ! 薬、薬」
 和尚さんは、大いそぎで薬を持ってきて、タヌキのおなかにぬってやりました。
「どうだ、ぐあいは?」
 心配そうにたずねる和尚さんに、タヌキの親分はニッコリしていいました。
「和尚さんのおかげで、もうなおった。さて、つづきをやるぞ。それっ、あいててて!」
 タヌキの親分はうでをふりあげましたが、まだむりのようです。
「つぎの満月までしんぼうしなさい。みんな、今夜は親分のおなかが早くなおるよういのって、元気よくやろう」
 こうして、タヌキたちとゆかいな和尚さんは、朝まで元気よくはらつづみを打ちつづけました。
 そして、しょじょ寺というこのお寺では、いまも満月の夜には、タヌキたちが庭に集まって、はらつづみをうつという話です。

おしまい

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