なみだがポロリ 日本の悲しい話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > ジャンル別 > 日本の悲しい話 > お花地蔵
お話しの移動
・ 福娘童話集

・ ジャンル別

・ 日本の悲しい話 (全30話)

→  1話 〜 10話
→ 11話 〜 20話
→ 21話 〜 30話
 


日本の悲しい話 第8話

お花地蔵

お花地蔵

 むかしむかし、ある村に、おばあさんとまご娘がふたりでくらしておりました。
 まご娘の年は七つで、名はお花といいます。
 おばあさんの年は六十で、名はお春といいます。
 お花の両親は、お花が三さいのときに死んでしまったのです。
 お春ばあさんは、よその家の畑しごとをてつだったり、ハリしごとをしたりしてくらしていました。
「ばあちゃ、早くいくぞ」
 お花は、お春ばあさんが畑しごとをしているあいだは、子どもたち相手にあそびまわっています。
「えいっ!」
「やあっ!」
 男の子たちをやっつけてしまうのは、いつもお花でした。
 夕ぐれになると、お春ばあさんとお花は、いっしょに家へ帰りました。
「ばあちゃ、おら、きょう、吾助とごん太をやっつけただ、おもしれかっただ」
「そんなにおもしれかったか。じゃがなあ、お花。棒切れあそびなんて、おなごのするもんじゃあねえ。あれは、男の子のすることじゃあ」
「ばあちゃ、おら、おなごじゃねえ。男の子だ。みとれ」
と、いって、なんと立ったままおしっこをしたのです。
「んま、なんて子じゃ」
 やがて、秋になりました。
 村はかりいれどきで、ネコの手もかりたいほどのいそがしさです。
 お春ばあさんは、あっちの家、こっちの家のてつだいで大いそがし。
 でも、お花はあいかわらず、棒切れあそびにむちゅうでした。
「そらこい! どっからでもかかってこい!」
「なにをっ。なまいきな」
「そりゃ、このへっぴりごしめ。どうだ、まいったか!」
「いてっ、いてえよう。お花はつよすぎる」
「あははは」
 そうして、夕方になると、畑しごとを終えたお春ばあさんと帰っていくのでした。
 家に帰って、お春ばあさんがお花のからだを洗ってやっていると、お花がポツンといいました。
「おら、もう、いくさごっこはやめるだ」
 お春ばあさんはおどろきました。
「ど、どうしたんじゃ。なんでやめるんだ? おめえから棒切れとったら、なんにものこらねえでねえか」
「だって、ばあちゃ、おらに勝てる相手が、一人もいなくなっただよ。だから、おら、棒切れあそびをやめて、ばあちゃのてつだいをするだ」
「なにいってるだ。おめえにてつだってもらったって、かえってじゃまになるだけだ。・・・まったく、急になまいきなことをいいよって!」
 そういうお春ばあさんのほおに、ポロリとうれしなみだがこぼれました。
 ところがその冬、村の子たちが、はやりやまいの『百日ぜき』にかかりました。
「ゴホン、ゴホン、ゴホン」
 元気だったお花も、百日ぜきにかかりました。
 医者のいない小さな村では、どうすることもできません。
 そして、あんなに元気だったお花は、あっけなく死んでしまいました。
 お春ばあさんは、とつぜんの悲しみに、何日も何日も、仏だんの前にすわったまま、動こうとしません。
 近所の人が、心配してやってきました。
「お春ばあさん、すこしは食べんと、からだにどくじゃで。お春ばあさんにはつらいことじゃが、お花もあの世にいけば、おっとうやおっかあにあえるだ。きっと親子水いらずでくらしてるだよ」
 お春ばあさんは、やっと顔をあげて。
「ああ、そのことだけを、おら、いのってただ。・・・じゃがのう、お花はおさねえ。あんなちっちゃいお花が、おっとうとおっかあのところに、まよわずいけるかどうかとおもうと、それが心配でなんねえ」
「だいじょうぶじゃあ、お花はしっかりもんじゃで。きっといけるだよ」
「・・・そうあってくれれば、いいんじゃがのう」
 夜になって、またひとりぼっちになると、お春ばあさんは、また仏だんの前にすわりこんでしまいます。
「どこかで、ばあちゃをさがしてるんでねえか。ひとりさびしくないているんでねえか。・・・お花、ばあちゃには、どうしてやることもできねえ。お花は、まるでおじぞうさまのように、 ・・・そうじゃ!」
 お春ばあさんは、その夜から、おじぞう(→詳細)さまをほりはじめました。
 おさなくして死んだお花は、ごくらくへの道もわからずまよっているかもしれません。
 そこでお春ばあさんは、おじぞうさまをつくって、たくさんの村の人たちにいのってもらい、早くお花をごくらくへ送ってやろうと思ったのです。
 お春ばあさんは、くる日もくる日も、おじぞうさまをほりつづけました。
「でけた!」
 こうして、長い冬がすぎて、あたたかい春がくるころ、おじぞうさまはできあがりました。
 お花にそっくりの、小さな小さなおじぞうさまです。
「これできっと、おっとうとおっかあにあえるにちがいない」
 お春ばあさんはそう思いました。
 そして、その小さなおじぞうさまは、村を見わたせるおかの上にたてられました。
 このおじぞうさまは、やがて『お花じぞう』とよばれるようになり、子どもが百日ぜきにかかると、お花のすきだった「いり米」をおそなえしておねがいすれば、かならずよくなるといわれるようになりました。

おしまい

 前のページへ戻る

ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界
福娘童話集
人気コーナー
きょうの新作昔話
未公開の童話・昔話を毎日
一話ずつ公開
おはなし きかせてね
福娘童話集をプロの声優・ナレーターが朗読
小学生童話
幼稚園から小学6年生まで、学年別の童話・昔話集
おくすり童話
読むお薬で、病気を吹き飛ばそう!

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診