福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 6月の江戸小話 > れんこんのあな
6月18日の小話
れんこんのあな
初めてまちに出かけた、山ざとのしょうやのせがれが、知りあいの家によばれて、ごちそうをふるまわれました。
すると、りょうりのひとつに、れんこんのわぎりが出されました。
いままで、みたこともない食べものです。
ふしぎそうにみていると、つれの男が耳うちをしました。
「これは、れんこんといって、ハスのねっこだ」
しょうやのせがれは、れんこんをみるのは初めてでしたが、しらなかったというと、バカにされるとおもって、
「それくらい、わかっている。しかしまあ、よく、こんなにたくさんのあなをあけたものだ。料理するのがたいへんだっただろう」
と、いったそうです。
おしまい