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3月24日の日本民話
じゃんじゃん
三重県の民話
むかしむかし、あるところに森がありました。
村人の年寄りたちは、
「この森の下には海が広がっていて、森をほると塩水が出てくるんじゃ」
と、いっていました。
そこで村の若者たちは、海までほってみようということになり、長い竹筒(たけづつ)を何本も何本もつないで地面につきさしてみました。
ところが何本つないでみても、いっこうに水が出ません。
「年寄りの話は、うそじゃったんじゃ」
あきらめて帰ろうとしているところへ、一人の侍(さむらい)がやってきて、
「ここですもうをとろう。そうすれば負けたものがドスン、ドスンと尻もちをつくから、その重みで水が出るかもしれん」
と、いいました。
そしてまた、
「それから負けたものは、刀を一本づつこの竹筒の中へ投げこもう、そうすると海の井戸の神さまが怒って、水を出すかもしれんぞ」
と、いったのです。
村人はすもうをとりはじめ、負けたものが刀を竹筒の中へ落すと、竹筒の底の方から、
♪じゃんじゃん
と、何かが鳴りひびきました。
そしてしばらくすると、底から水がふき出して、尻もちのくぼみに水がたまりはじめたのです。
そのくぼ地は池になり、村の井戸からは水がどんどんふき出しました。
水は今でも竹の筒から、
♪じゃんじゃん
と、つきることなくふき出しているそうです。
これは、地面の下が海底になっているからだという事です。
おしまい