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        世界のわらい話 第49話 
         
          
         
三人のなまけもの 
グリム童話 →グリム童話の詳細 
       むかしむかし、ある王さまに、三人の王子がいました。 
   王さまは三人ともおなじようにかわいがっていたので、じぶんが死んだあとは、どの王子を王さまにしたものかとなやみました。 
   そしていよいよ、王さまは死ぬというときになって、三人の王子をまくらもとによびよせると、こういいました。 
  「子どもたちや、わしはおまえたちのなかで一番のなまけものを、わしの死んだあとの王さまにしようとおもうのだが」 
   すると、一番年上の王子がいいました。 
  「おとうさま、それならばこの国はわたしのものでございますよ。なにしろわたしときたら、これからねようと横になっても、目を閉じるのがじゃまくさくて、そのままねむらないでいるのですから」 
   それを聞いた、二番目の王子はいいました。 
  「おとうさま、この国はわたしのものでございますよ。なにしろわたしは、火のそばにすわってあたっているときに、いくら火があつくても、足を引っ込めるのがじゃまくさくて、足にやけどをしたくらいですからね」 
   それを聞いた、三番目の王子がいいました。 
  「おとうさま、この国はぼくのものですよ。なにしろぼくは、これから首つりにされるとして、もしだれかがよく切れるナイフをもたせてくれて、『これでなわを切るがいい』と、いったとしても、ぼくは手をもちあげてなわを切るくらいなら、だまって首をしめてもらうほうがいいんですからね」 
   王さまはこれをきくと、 
  「三番目の王子よ、おまえがいちばんのなまけものだ。じゃあ、王さまにしてやろう」 
  と、いったそうです。 
   
   三人の王子のだれが王さまになっても、この国は長くないでしょうね。 
      おしまい 
         
         
        
       
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