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世界の有名な話 第20話
ガリバーのぼうけん
スウィフトの童話 → スウィフトの童話の詳細
むかしむかし、あるところに、ガリバーという若者がいました。
ガリバーは海が好きで、船に乗りこんでは、あちらこちらと旅を続けています。
ところがあるとき、はげしいあらしにまきこまれて、船はしずんでしまいました。
さて、どれくらいたったのでしょう。
海に投げ出されたガリバーが、ふと気がつくと、からだをなわでしばられて地面にねかされていました。
あたりを見回すと、なんと、かぞえきれないほどの小人たちが集まっているのです。
「なんと、知らないうちに、小人の国へ流れついたというわけか」
小人たちはガリバーをろう屋へ運ぶと、逃げ出せないよう、くさりでグルグルまきにしばりあげてしまいました。
それから何日かたったある日、小人の王さまが、ガリバーを見にやってきました。
「王さま!」
ガリバーは、王さまにいいました。
「あばれたりはしませんから、どうか、くさりをはずしてください」
「・・・ふむ。体は大きいが、おまえは悪者(わるもの)ではなさそうだ。のぞみをかなえてやるとしょう」
「ありがとうございます」
よろこんだガリバーは、町の見物(けんぶつ)に出かけました。
小人の町の建物(たてもの)は、とても小さいものばかりで、ガリバーは建物や人をふみつぶさないよう、下ばかり向いています。
さて、そんなある晩、お城で火事がおこりました。
「これは大変。・・・そうだ」
ふと思いついたガリバーは、じぶんのボウシで池の水をすくうと、お城の上へバシャンとかけました。
「すごい、あっというまに、火を消してしまったぞ」
ガリバーの人気は、ますます高まるばかりです。
そこへ、知らせがとどきました。
海の向こうの小人たちが、こちらの国へせめこんでくるというのです。
ガリバーが持っていた望遠鏡(ぼうえんきょう)でのぞいてみると、海の上には、敵の国の小人の乗った船がギッシリです。
「よし、わたしにまかせてください」
ガリバーは、つり針のようなものをたくさん作ると、それを持って海ヘ入っていきました。
「わあ、大男だあ!」
ビックリした敵の国の小人たちは、ビュンビュンと矢を飛ばしてきますが、
「なんのこれしき。さあ、つかまえてやるぞ」
ガリバーはつり針を船の一つ一つに引っかけると、全部まとめて、浜辺へ引っぱりあげてしまいました。
それを見た敵の国の王さまは、
「まいりました。二度とせめこんだりはしませんから、許してください」
と、あやまってきたのです。
小人たちはよろこんで、ガリバーをほめたたえました。
「ばんざい、ばんざい。ガリバー、ばんざい」
ところがまた、こまったことがおこりました。
ある日、ガリバーと仲のよい小人たちが、ガリバーのところへ走ってきたのです。
「大変です。王さまと大臣(だいじん)が、ガリバーさんを殺す相談(そうだん)をしています。このままだと、ガリバーさんが王さまになるかもしれないからって」
「それはたいへん。でも、どうすればいいのだろう?」
「だいじょうぶです。いっしょに浜まで来てください」
見ると浜辺の岩のかげに、一そうの大きなボートがかくしてありました。
「これに乗って、あなたの国へお帰りなさい。無事に帰れるよう、みんなでおいのりしていますから」
「ありがとう。みんなのことは忘れないよ」
こうしてガリバーは、無事にふるさとの家へ戻ることができたのです。
おしまい
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