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ふくむすめどうわしゅう(Hukumusume fairy tale collection) > がいこくご(Foreign language)
>せかいのむかしばなし(Classical stories of the world)
メスウシ と ライオン
A Cow and a Lion
(インドのむかしばなし)
(Old stories of India)
ほんやく(Translation) ちいさな翻訳屋さん
にほんご(Japanese) ←→ にほんご(Japanese) & えいご(English) ←→ えいご(English)
むかしむかし の おはなし です。
This is a story from long, long ago.
いっとう の メスウシ が かわ に みず を のみ に いった とき、ついで に かわ の ほとり の あおい くさ を いっぱい たべました。
A cow went to the river to drink some water and ate a lot of green grass by the river.
さて かえろう と すると、ふうん な こと に はらぺこ の ライオン に あって しまいました。
When the cow was about to go home, she unfortunately encountered a hungry lion.
「おい、メスウシ。かくごしろ。おまえ を、たべて しまうぞ!」 “You, cow. Be prepared. I will eat you!”
ライオン は、すぐ に とびかかり そうな いきおい です。
The lion looked as if he was going to attack her any second.
メスウシ は あとずさり しました が、でも き を とりなおして かんがえました。
The cow backed away at first but had a second thought.
(どうせ、いつか は しぬ の です。それなら、わたし を ほしがっている ライオン に、わたし の からだ を やって しぬ のが、りっぱな しにかた かもしれない)
(I’m going to die someday anyway. If so, it may be a honorable thing for me to offer myself to a hungry lion who is craving me.)
メスウシ は、ライオン に いいました。
So the cow said to the lion,
「どうぞ、わたし を たべて ください。でも、ひとつ おねがい が あるのです」
“Sure, go ahead and eat me. But I have one favor to ask you.”
「なんだ?」
“What is it?”
「おはら を すかせて いる こウシ が、わたし の かえり を まっています。
“My hungry little boy is waiting for me to come home.
どうか わたし に、おっぱい を やり に いかせて ください。
Please let me go home and feed him for the last time.
すぐ に、もどって きます から」
I promise to come back as soon as possible.”
「だめだ! かえって こない に、きまって いる!」 “No way! I’m sure you’ll never come back!”
「かえって きます。
“Yes, I will.
やくそく は、まもります。
I’ll keep my promise.
いま こウシ に のませなければ、わたし の おっぱい は むだ に なって しまいます。
If I don’t feed the little boy today, my breast milk will be wasted.
なにか の やくにたつ と いうこと は、とても だいじな こと でしょう?」
It’s very important to be helpful for something, isn’t it?”
「・・・ふむ。じゃあ、いってこい。おれ は、ここ で まっている」
“… I see. You may go, then. I’ll be waiting for you right here.”
ライオン は しぶしぶ ながら も、しょうち しました。
The lion agreed reluctantly.
メスウシ は いそい で いえ へ かえる と、こウシ を よびました。
The cow hurried back home and called the little boy.
「さあ、おいで ぼうや。わたし の おっぱい を、たっぷり と おのみ」
“Come here, my little boy. Drink my milk as much as you want.”
ところ が りこうな こウシ は、おかあさん の ようす が いつも と ちがう こと に き が つきました。
However, the smart little boy noticed his mother acting differently.
「おかあさん、なにか しんぱいごと が あるんでしょう?
“Mama, are you worried about something?
はなしてよ。
Tell me.
はなして くれなければ、ぼく、おっぱい を のまないよ」
I’m not going to drink your milk if you don’t tell me.”
こウシ が あまり に しんけん なので、メスウシ は とうとう ほんとう の こと を はなしました。
The boy looked so serious that the cow told him the truth.
「ね、わかったでしょう。 “You see?
いい こ だから、はやく のんでね。
Drink some milk now, good boy.
おかあさん は、ライオン と かたく やくそく を したのだから」
I’ve made a promise with the lion.”
すると こウシ は、なきだしそうな かお で おかあさん を みあげました。
The little boy looked up at his mother, looking as if he was about to cry.
「おかあさん。 “Mama.
ぼく も おかあさん と、いっしょ に いく。
I’ll come with you.
おかあさん が ひとり で ライオン の ところ へ いく と おもったら、ぼく かなしくて、おっぱい を のむことなんか できないよ」
I’m too sad to drink your milk, knowing that you are going back to the lion alone.”
メスウシ は、こウシ を だきしめました。
The cow hugged the little boy.
「おかあさん」
“Mama,”
こウシ は、いいました。
the little boy said,
「この よのなか で なにか の やくにたつ のは、いいこと だって いったでしょう。
“you told me that it’s important to be helpful for something in this world.
おかあさん と ぼく を たべれば ライオン も おなか が いっぱい に なって、しばらく は ほかの どうぶつ を たべたり しないよ」
Eating both of us should satisfy the lion’s hunger enough to not eat other animals for a while.”
「でも、おまえ まで が たべられる なんて・・・」
“But I can’t let the lion eat you…”
「いやだ! おかあさん と いっしょ に いく!」
“No! I want to come with you!”
こウシ は、けっして メスウシ の そば を はなれようとは しません。
The little boy wouldn’t leave his mother’s side.
しかたなく メスウシ は こウシ を つれて、ライオン の ところ へ いそぎました。
So the cow reluctantly took the little boy with her and hurried back to where the lion was.
「ライオンさん、やくそくどおり かえってきました。
“Lion, I‘m back as I promised.
こウシ も、いっしょです。
My little boy is here with me as well.
さあ、わたしたち を たベてください。
Now you may eat us.
あなた は おなか が ペコペコ でしょうが、あたしたち を たべれば しばらく は ほか の どうぶつ を たべなくて も いいはず。
You must be starving, but if you eat two of us, you won’t crave other animals for a while.
じぶん の からだ を ささげて ほか の どうぶつ を たすけるのは、たいへん たいじな こと ですから」
We believe it’s a very good thing to sacrifice ourselves to save other animals.”
ライオン は メスウシ の はなし を、ジッ と きいていました。
The lion had been listening to the cow closely.
その め には、なみだ が うかんでいます。
His eyes were in tears.
「さあ、ライオンさん、どうぞ」
“Here, Lion. Go ahead.”
「ぼくも、どうぞ」
“Eat me, too.”
ウシ の おやこ は そういうと、しずかに め を つむりました。
Having said that, the cow and the little boy closed their eyes slowly.
すると とつぜん、ライオン は おなか を おさえる と ウシ の おやこ に いいました。
Suddenly, the lion grabbed his stomach and said to the cow and the son.
「あたっ、あいたた!
“Ow! It hurts!
きゅう に、おなか が いたくなってきた。
I’m getting stomachache just now.
これでは なにも、たべること は できない。
I can’t eat anything like this.
ざんねん、ざんねん」
What a shame, what a shame.”
そして ライオン は、そのまま かえっていきました。
Then the lion left without eating the two.
おしまい
The end
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