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メスウシ と ライオン
(インドのむかしばなし)
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むかしむかし の おはなし です。
いっとう の メスウシ が かわ に みず を のみ に いった とき、ついで に かわ の ほとり の あおい くさ を いっぱい たべました。
さて かえろう と すると、ふうん な こと に はらぺこ の ライオン に あって しまいました。
「おい、メスウシ。かくごしろ。おまえ を、たべて しまうぞ!」
ライオン は、すぐ に とびかかり そうな いきおい です。
メスウシ は あとずさり しました が、でも き を とりなおして かんがえました。
(どうせ、いつか は しぬ の です。それなら、わたし を ほしがっている ライオン に、わたし の からだ を やって しぬ のが、りっぱな しにかた かもしれない)
メスウシ は、ライオン に いいました。
「どうぞ、わたし を たべて ください。でも、ひとつ おねがい が あるのです」
「なんだ?」
「おはら を すかせて いる こウシ が、わたし の かえり を まっています。
どうか わたし に、おっぱい を やり に いかせて ください。
すぐ に、もどって きます から」
「だめだ! かえって こない に、きまって いる!」
「かえって きます。
やくそく は、まもります。
いま こウシ に のませなければ、わたし の おっぱい は むだ に なって しまいます。
なにか の やくにたつ と いうこと は、とても だいじな こと でしょう?」
「・・・ふむ。じゃあ、いってこい。おれ は、ここ で まっている」
ライオン は しぶしぶ ながら も、しょうち しました。
メスウシ は いそい で いえ へ かえる と、こウシ を よびました。
「さあ、おいで ぼうや。わたし の おっぱい を、たっぷり と おのみ」
ところ が りこうな こウシ は、おかあさん の ようす が いつも と ちがう こと に き が つきました。
「おかあさん、なにか しんぱいごと が あるんでしょう?
はなしてよ。
はなして くれなければ、ぼく、おっぱい を のまないよ」
こウシ が あまり に しんけん なので、メスウシ は とうとう ほんとう の こと を はなしました。
「ね、わかったでしょう。
いい こ だから、はやく のんでね。
おかあさん は、ライオン と かたく やくそく を したのだから」
すると こウシ は、なきだしそうな かお で おかあさん を みあげました。
「おかあさん。
ぼく も おかあさん と、いっしょ に いく。
おかあさん が ひとり で ライオン の ところ へ いく と おもったら、ぼく かなしくて、おっぱい を のむことなんか できないよ」
メスウシ は、こウシ を だきしめました。
「おかあさん」
こウシ は、いいました。
「この よのなか で なにか の やくにたつ のは、いいこと だって いったでしょう。
おかあさん と ぼく を たべれば ライオン も おなか が いっぱい に なって、しばらく は ほかの どうぶつ を たべたり しないよ」
「でも、おまえ まで が たべられる なんて・・・」
「いやだ! おかあさん と いっしょ に いく!」
こウシ は、けっして メスウシ の そば を はなれようとは しません。
しかたなく メスウシ は こウシ を つれて、ライオン の ところ へ いそぎました。
「ライオンさん、やくそくどおり かえってきました。
こウシ も、いっしょです。
さあ、わたしたち を たベてください。
あなた は おなか が ペコペコ でしょうが、あたしたち を たべれば しばらく は ほか の どうぶつ を たべなくて も いいはず。
じぶん の からだ を ささげて ほか の どうぶつ を たすけるのは、たいへん たいじな こと ですから」
ライオン は メスウシ の はなし を、ジッ と きいていました。
その め には、なみだ が うかんでいます。
「さあ、ライオンさん、どうぞ」
「ぼくも、どうぞ」
ウシ の おやこ は そういうと、しずかに め を つむりました。
すると とつぜん、ライオン は おなか を おさえる と ウシ の おやこ に いいました。
「あたっ、あいたた!
きゅう に、おなか が いたくなってきた。
これでは なにも、たべること は できない。
ざんねん、ざんねん」
そして ライオン は、そのまま かえっていきました。
おしまい
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