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ほしのきんか
(グリムどうわ)

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　むかしむかし、ある ところ に、ちいさな おんなのこ が いました。

　おとうさん も おかあさん も しんで しまって、おんなのこ の もっている もの は きている ふく と、しんせつ な ひと が くれた ひときれ の パン だけ です。

　たよる ひと の いない おんなのこ は、かみさま だけ を たより に のはら へ でて いきました。

　すると、まずしい おとこのひと が やって きて いい ました。

「おねがい だ。わたし に なに か たべるもの を おくれ、もう、はらぺこ なんだ」

　たべるもの と いって も、おんな の こ には ひときれ の パン しか ありません。

　この パン を あげて しまったら、おんなのこ の たべるもの が なくなって しまいます。

　でも おんなのこ は、もって いた パン を ぜんぶ あげて いい ました。

「かみさま の おめぐみ が、あります ように」

　そして さき へ あるいて いく と、ひとり の こども が やって きて なきながら いい ました。

「さむい、あたま が さむいよう。ねえ、なにか かぶる もの を ちょうだい」

　そこで おんなのこ は、じぶん の ボウシ を あげて いい ました。

「かみさま の おめぐみ が、あります ように」

　また しばらく いく と、こんど は うわぎ が なくて こごえて いる こども に あいました。

　おんなのこ は じぶん の うわぎ を ぬぐ と、その こども に あげて いい ました。

「かみさま の おめぐみ が、あります ように」

　また さき へ あるいて いく と べつ の こ が スカート を ほしがる ので、スカート を あげて いい ました。

「かみさま の おめぐみ が、あります ように」

　とうとう おんなのこ は、もり に やってきました。

　あたり は もう、すっかり くらく なって います。

　そこへ また ひとり の こども が やって きて、したぎ を ほしがり ました。

　したぎ を あげる と、おんなのこ は はだか に なって しまいます。

　おんなのこ は、すこし まよい ました が、

（くらい よる だから、だれ にも みえや しないわ）

　おんなのこ は こう かんがえて したぎ を ぬぐ と、とうとう これ も あげて いい ました。

「かみさま の おめぐみ が、あります ように」

　こうして おんなのこ が なにひとつ み に つけず に たって いると、とつぜん そら から ほし が おちて きました。

　そして その ほし は、ピカピカ ひかる きんか に なったのです。

　き が つくと はだか だった はず の おんなのこ は、いつ の ま にか りっぱ な ふく を きて いました。

「ああ、かみさま ありがとう」

　おんなのこ は きんか を ひろい あつめる と、その おかね で いっしょう しあわせ に くらした と いう ことです。

おしまい