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A Lion, Fox, and Deer
イラスト myi   ブログ sorairoiro

ライオン と キツネ と シカ

(イソップどうわ)

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TIME 3:07 ろうどく 亜姫の朗読☆イソップ童話
TIME 3:11 ろうどく 亜姫の朗読☆イソップ童話



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 ライオン が びょうき に なって、ほらあな の なか で ねていました。

 この ライオン は、いっぴき の キツネ と なかよし でした。

 おみまい に きてくれた キツネ に、ライオン は たのみました。

「ぼく の びょうき を なおしたい と おもうのなら、もり に いる シカ を だまして ここに つれてきて くれないか。

 ぼく は シカ の はらわた と しんぞう が たべたくて たまらないんだ」

 キツネ は、シカ を さがし に いきました。

 まもなく、もり の なか で はねまわっている シカ が みつかりました。

 キツネ は、シカ に ちかづく と、

「あなた に いいはなし が あります。

 われわれ の おうさま で ある ライオンくん が、いま びょうき で し に そう なんです。

 それで ライオンくん は、じぶん が しんだ あと の おうさま を だれ に するか かんがえました。

ライオンとキツネとシカ

 イノシシ は あたま が わるいし、クマ は のろまだ。

 ヒョウ は おこりっぽいし、トラ は すぐ に いばる。

 そこで、シカくん なら せ が たかくて りっぱ だし、ながいき するし、どうどう と した つの は あるしで。

と、ここまで いえば わかるでしょう。

 ライオンくん は つぎ の おうさま に、あなた を えらびました。

 シカくん、おうさま に なりたい の なら、はやく ライオンくん の ところへ いって ください」

 キツネ の はなし を きいて、シカ は すっかり とくい に なりました。

 そして、キツネ に ついていって、ライオン の ほらあな に はいりました。

 たちまち、まちかまえていた ライオン が シカ に とびかかりました が、しくじって、シカ の みみ を ひきさいた だけ でした。

ライオンとキツネとシカ

 シカ は いちもくさん に、もり に にげかえりました。

「おねがい だ。もういちど、なんとかして、あの シカ を つれてきて くれよ」

「うーん、やっかい で、むずかしい こと を たのむ なあ。まあいい。なんとか やって あげるよ」

 そして キツネ は、まるで りょうけん の ように シカ の あしあと を つけて いきながら、どうやって だまそうか と あたま を ひねりました。

 とちゅう、ヒツジかいたち に あった ので、キツネ は、

「ちまみれ に なった シカ を、みかけません でしたか?」

と、たずねました。

ライオンとキツネとシカ

「ああ、あそこ の はやし の なか の ねぐら に いるよ」

 おしえられた キツネ は、やすんでいる シカ の ところ へ いって、すました かお で あいさつ を しました。

 シカ は カンカン に おこって、け を さかだてて いいました。

「けがわらしい キツネ め!

 もう、だまされないぞ!

 そば に きたら いのち は ない と おもえ!

 おまえ が どんな わるもの か、しらない やつ を だまし に いく が いい。

 おうさま に してやる と いって、おだててやれ」

 すると、キツネ は、

ライオンとキツネとシカ

「あんた は、それほど こしぬけ の ひきょうもの なのかい?

 そんな ふう に、わたしたち を うたぐる なんて。

 ライオンくん が あんた の みみ を つかまえた のは、おうさま に なった とき の こころがまえ を おしえよう と したんだよ。

 それなのに あんた は、びょうき の ライオンくん が ちょっと ひっかいた のも がまんできない なんて。

 あんた の ふがいなさ に おこった ライオンくん は、こんど は オオカミ を おうさま に すると いっているよ。

 こまるなあ。

 らんぼうもの の オオカミ が おうさま に なっては。

 だからさ、わたし と いっしょ に きてくれよ。

 ライオンくん が、あんた に がい を くわえる はず が ない。わたし が ほしょう する から」

 こんな ふう に、キツネ は シカ を いいくるめて、もういちど ライオン の ところ へ つれて いきました。

 シカ が ほらあな に はいる と ライオン は、

ライオンとキツネとシカ

「こんど は ごちそう を のがさないぞ!」

と、ばかり、ほね から はらわた まで、ガツガツ と たべて しまいました。

 キツネ は、そば で ながめて いました。

 その あしもと に、シカ の しんぞう が こぼれ おちました。

ライオンとキツネとシカ

 キツネ は それ を さっと ひろって、さんざん はたらかされた うめあわせ にと、ぺろり と たべて しまいました。

 ライオン は、はらわた を はし から たべました が、しんぞう だけが みつかりません。

「しんぞう は、どうした の だろう?」

と、しきり に さがしています。

 それ を みて キツネ は、ライオン の て の とどかない ところ まで にげて から いいました。

ライオンとキツネとシカ

「この シカ には、もともと しんぞう が なかった から、さがしても むだ だよ。

 だって、ふつう の しんぞう を もっている どうぶつ なら、ライオン の すみか へ にど も、のこのこ やってくる はず が ないだろう」



 この おはなし は、えらくなって いばりたい と いう きもちち が あんまり つよい と、ものごと を みさだめる こと が できなくなり、

 きき が さしせまっている の にも き が つかない と いうこと を おしえています。

おしまい

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