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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) > がいこくご > にほんむかしばなし

はなさかじいさん

はなさかじいさん

♪Reading in Japanese
音声 すまいるぼっくす



にほんご ←→ にほんご & えいご ←→ えいご

 むかしむかし、あるところ に、おじいさん と おばあさん が すんでいました。

 ふたり は こども が いなかった ので、シロ と いう イヌ を とても かわいがって いました。



 あるひ、シロ が はたけ で ほえました。

「ここほれ ワンワン、ここほれ ワンワン」

「おや? ここを ほれと いっているのか。よしよし、ほってやろう」

 おじいさん が ほってみると、

「ややっ、これは すごい!」

 なんと、じめん の なか から おおばんこばん が ザクザク と でてきたのです。



 この はなし を きいた、となり の よくばりじいさん が、

「わし も、おおばんこばん を てにいれる。おめえ の シロ を、わし に かして くれや」

 よくばりじいさん は、シロ を むりやり はたけ に つれて いきました。

 そして、いやがる シロ が キャンキャン ないた ところ を ほって みると、くさい ゴミ が たくさん でてきました。

「この やくたたず の イヌめ!」

 おこった よくばりじいさん は、なんと、シロ を なぐりころして しまったのです。

 シロ を ころされた おじいさん と おばあさん は、なくなく シロ を はたけ に うめて やると、ぼう を たてて おはか を つくりました。



 つぎのひ、おじいさん と おばあさん が シロ の おはかまいり に はたけ へ いってみると、シロ の おはか の ぼう が ひとばん の うち に たいぼく に なっていたのです。

 おじいさん と おばあさん は、その き で うす を つくって、おもち を つきました。

 すると ふしぎなこと に、もち の なか から たからもの が たくさん でてきました。

 それ を きいた、よくばりじいさん は、

「わし も、もち を ついて たから を て に いれる。おめえ の うす を、わし に かして くれや」

と、うす を むりやり かりる と、じぶん の いえ で もち を ついて みました。

 しかし でてくる のは いしころ ばかり で、たからもの は でてきません。

「いまいましい うすめ!」

 おこった よくばりじいさん は うす を オノ で たたきわる と、やいて はい に してしまいました。

 たいせつな うす を やかれた おじいさん は、せめて はい だけ でも と、うす を やいた はい を ザル に いれて もちかえろう と しました。

 そのとき、はい が かぜ に とばされて、かれき に フワリ と かかりました。

 すると、どうでしょう。

 はい の かかった かれき に、まんかい の はな が さいた の です。

 おじいさん は、うれしくなって。

「かれき に はな を さかせましょう。パアーッ」

と、いいながら つぎつぎ に はい を まいて、かれき に うつくしい はな を さかせました。

はなさかじいさん

 ちょうど そこへ、おしろ の おとのさま が とおりかかりました。

「ほう、これは みごとじゃ」

 おとのさま は たいそう よろこんで、おじいさん に たくさん の ほうび を あげました。

 それを みていた よくばりじいさん が、

「おい、わし も はな を さかせて ほうび を もらう。その はい を、わし に よこせ!」

 むりやり に はい を とりあげる と、おとのさま に いいました。

「とのさま、この はい は わし の もの です。

 わし が かれき に はな を さかせます から、わしにも ほうび を ください。

 バァーッ!」

 よくばりじいさん は とのさま の まえ で たくさん はな を さかせよう と、はい を いっせい に まきました。

 すると はい が おとのさま の め に はいって、よくばりじいさん は おとのさま の けらい に さんざん なぐられた と いうことです。

おしまい

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