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かべ の なか から
(にほんのむかしばなし)
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むかしむかし、あるところ に、なか の よい おじいさん と おばあさん が いました。
ふたり は、あるばん、
「なあ、ばあさん や。どちらか が さき に しんだら、おはか には いれない で いえ の かべ に ぬりこめよう。
そうすれば、いつまでも いっしょ に いられる」
「そうですね。そして しんだ もの が、かべ の なか から よんだら、かならず へんじ を すること に しましょう」
と、やくそく しました。
ところ が まもなく、おばあさん が ポックリ あのよ へ いってしまった ので、
おじいさん は やくそくどおり、おばあさん の なきがら を かべ に ぬりこめた のです。
すると、そのひ から まちにち、
「おじいさん、いるかい?」
かべ の なか の おばあさん が きいてきます。
「ああ、ここにいるよ」
「なに を しているんだい?」
「わらしごと だよ」
また しばらく すると、おばあさん が ききます。
「おじいさん、いるかい? なに を しているんだい?」
いちにち に なんど も きかれる ので、おじいさん は だんだん めんどうくさく なって きました。
「だれか、わし に かわって へんじ を してくれる もの は おらんかなあ?」
おじいさん が ためいき を ついて いると、うまい ぐあい に たび の おとこ が やってきました。
「すみません。たび の もの です。よければ ひとばん、とめて いただけませんか?」
それ を きいた おじいさん は、おおよろこび で いいました。
「どうぞどうぞ。えんりょなく とまっていってくれ。
その かわり かべ の なか から、『おじいさん、いるかい?』と、こえ が したら、『ああ、ここ に いるよ』と、こたえて くれんか。
『なに を しているんだい?』と、きかれたら、てきとう に こたえて くれりゃあいい」
「はい。そんな こと なら、おやすいごよう ですよ」
たび の おとこ が ひきうけて くれたの で、おじいさん は やれやれ と、おさけ を のみ に でかけました。
るす を たのまれた おとこ は、かべ の なか の おばあさん の こえ に、いちいち こたえて いましたが、
なんどとなく きかれる ので、やがて めんどう に なって つい、
「うるせえなあ。おじいさん は さけ を のみ に でかけたよ」
と、ほんとう の こと を いって しまったのです。
すると とつぜん、ガバッ! と、かべ が やぶれて、
はんぶん が ガイコツ の、ものすごい かお の おばあさん の ゆうれい が とびだして きました。
「おじいさん は、どこだーー! おまえ は だれだーー!」
「うひゃあー! でっ、でたーー!」
おとこ は おどろいたの なんの、いのちからがら にげて いきました。
おしまい
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