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イラスト myi
おいわ の たたり
(にほんのむかしばなし)
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いま から さんびゃくねん ほど むかし、えど の よつやさもんちょう に、おいわ と いう いえがら の よい むすめ が いました。
ですが きのどく にも、ごさい の とき に ほうそう を わずらい、
それは みにくい あばたがお に なってしまいました。
ちちおや は としごろ に なった むすめ を あわれ に おもって、ひとり の ろうにん を つれて きました。
ながい びんぼうぐらし が いや に なった ろうにん は、ひどい かお の おいわ でも、むこ に なってもいい と いったのです。
むこ は ちちおや に よく つかえ、おいわ も たいせつ に しました。
そして ちちおや が なくなって からも、まじめ に はたらきました。
おかげ で うわやく にも、たいへん すかれました。
なかでも とくに め を かけて、いえ へも よく まねいて くれる うわやく が ありました。
そして なんども いえ に まねかれる うちに、むこ は その やしき で はたらく じょちゅう を すき に なったのです。
じょちゅう の ほう も、まじめ で おとこらしい むこ を すき に なっていました。
だけど むこ は、もしも おいわ と わかれたら、もと の ろうにん に もどらなければ なりません。
こいしい おんな と いっしょ に なれない むこ は、みにくい かお の おいわ が いや で たまらなく なりました。
そして そのうち に かざい を うりとばして は さけ を のみ、しごと も さぼる ように なってきたのです。
こまった おいわ は、め を かけて くれた うわやく の ところ へ そうだん に いきました。
ところ が むこ と じょちゅう の かんけい を しっていた うわやく は、
かわいがっている むこ と じょちゅう を くっつけて やろう と おもい、おいわ に こう いった のです。
「いったん どこか に み を かくしていなさい。
むこ に よく いいきかせて かいしん させた のち、きっと むかえ に やらせるから」
「はい。おたのみ もうします」
おいわ は うわやく の ことば を ありがたく きいて、さっそく とおい ぶけやしき に じょちゅう と して でました。
それ を よろこんだ むこ は、
「おいわ は いえがら を すてて、どこか へ でていきおった」
と、いいふらし、どうどう と うわやく の じょちゅう と ふうふ に なったのです。
ひとのよい おいわ は、むこ が むかえ に くる ひ を たのしみ に まっていました。
しかし、なんねん たっても むこ は むかえ に きてくれません。
そんな あるひ の こと。
おいわ の いる やしき へ、いぜん、おいわ の いえ にも でいり していた、たばこうり が やって きました。
たばこうり は おいわ に むこ の ようす を きかれて、いいにくそう に あたらしい おくがた とのこと を はなしました。
それ を きいた おいわ は、みるみる あおざめて、
「うらめしや、よくも わたし を だましたね!」
と、すあし の まま とびだして いったのです。
そして そのまま、ゆくえしれず に なって しまいました。
ところが それから と いうもの、むこ の まわり に つぎつぎ と きかいな こと が おこりました。
あたらしい つま と むこ が ねている と、おいわ の ゆうれい が やってきて、
うらめしそう に じっと みつめて いるのです。
そして うまれた こども は きゅう に びょうき に なり、そのまま くるしんで しんでしまいました。
やがて あたらしい つま の うつくしい かお が、だんだん と みにくい おいわ の かお に なってきました。
そして ついには、ふたり とも くるいじに したのです。
また、おいわ を だました うわやく の かぞく も、おいわ に のろいころされて しまいました。
それ いらい、おいわ の いえ の あとに すむ ひと は、かならず げんいんふめい の びょうき で しんでしまう ので、
たたり を おそれた ひとびと は、いえ の あと に おいなりさん を たてて、おいわ の くよう を しました。
それ いらい、おいわ の たたり は なくなった と いうことです。
おしまい
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