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テング を ときふせた おとこ
(日本昔話)(富山県)
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むかしむかし、くろべ の やまおく では、ふしぎ な こと や おそろしい こと が よく おこりました。
きこり が き を きろう と して オノ を うちこむ と、
とたん に そら が かきくもって やま や たに が おおきな おと を たてて うごきだしたり、
とっぷう が ふきつけて きこり を くうちゅう に なげとばしたり、
き に のぼっている ひと は じめん に たたきつけられたり する の です。
これは、テング の しわざ だと いわれて いました。
ある とき、さんりん の きりたおし を まかされて いた おとこ が、
おおぜい の きこり を やといいれて さんりん を きりたおそう と した ところ、
やはり そら が かきくもって やま や たに が おおきな おと を たてて うごき はじめました。
そこで おとこ は たに に むかって、おおきな こえ で いいました。
「われわれ は とのさま に、なんびゃくりょう もの おかね を おさめ なければ ならない のだ。
たに の き を すべて きりだして も、まだ たりない くらい だ。
テング よ。
おまえ が じんつうりき で め の まえ に おかね を つんで くれる ならば、われわれ は き を きらぬ ぞ」
いいおわる と おとこ は、ソロバン を パチパチ と はじいて みせました。
「ほれ、これだけ の おかね を、おまえ に ようい できる か?」
すると おおきな おと が、ピタリ と やみました。
それから は まいにち が よい てんき で、き に オノ を いれて も なに も おこらなかった と いう こと です。
おしまい
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