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イラスト myi ブログ sorairoiro
まほうつかいのでし
(ドイツのむかしばなし)
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むかしむかし、まほうつかい と その でし が、ふたり で すんでいました。
あるひ の こと、まほうつかい は でかけるとき に、でし に いいつけました。
「ふろ の みず を、いっぱい に しておくように」
まほうつかい の すがた が みえなくなる と、でし は ソファー に ゴロン と よこ に なりました。
「あーあ、かわ から バケツ で みず を くんできて、ふろ を いっぱい に しておく なんて めんどうだなあ。
まいにち まいにち しごと を やま ほど いいつけられて、いや に なっちゃうよ。・・・そうだ!」
でし は、ある めいあん を ひらめきました。
「そうそう、ぼく は まほうつかい の でし なんだ。こういうとき こそ、おぼえた まほう を つかってみなきゃ」
でし は ソファー から とびおきる と、ほうき に むかって まほう の ことば で めいれい しました。
「ほうき よ、ほうき。かわ の みず を バケツ で くんで こい。そして その みず を、ふろ に いれるのだ!」
すると ほうき から ちいさな て が でてきて、りょうて に ふたつ の バケツ を つかむ と、ヒョッコリ、ヒョッコリ と あるきだした の です。
「よし、うまく いったぞ! これ で ぼく も いちにんまえ の まほうつかい だ!」
でし は、おおよろこび です。
まほう の ほうき は バケツ を さげて、かわ へ はしって いきます。
そして かわ の みず を バケツ に くむ と、ヒョッコリ、ヒョッコリ と もどってくる では ありませんか。
でし は、うれしくて たまりません。
まほう の ほうき は、くんできた みず を ふろ に ザザーッ と いれる と、また いえ を でて かわ へ はしっていきます。
「ああ、らくちん だったら、らくちん だ。まほう を つかえば、らくちん だ!」
でし は バケツ を もって なんども いったりきたり する まほう の ほうき に、てびょうし を とりながら おどりました。
ふろ の みず は、あっと いうま に いっぱい に なりました。
「さあ、おわった ぞ」
でし は ニッコリ わらって、ソファー で また ひるね を しよう と おもいました。
ところ が、まほう の ほうき は とまりません。
ふろ の みず は いっぱい で、もう あふれてしまう と いう のに、バケツ に みず を くんできて は ふろ に いれるのです。
ふろ から あふれた みず が、ろうか に ながれでました。
「ああ、やめろ! もう おしまい だってば!」
でし が めいれい します が、ほうき は いうこと を ききません。
もう いえ の いっかい は、プール の ように みず が たまって いました。
「このままじゃあ、おこられてしまうよ。・・・えーと、まほう を とく ことば は なんだっけ? ・・・えーと、えーと」
どうしても、まほう を とく ことば が おもいだせません。
「ええーい、こうなれば、ほうき を こわしてやる!」
でし は オノ を もってくる と、まほう の ほうき を まっぷたつ に きりました。
その とたん まほう の ほうき は ふたつ に ふえて、いままで の にばい の みず を はこんでくるのです。
「えい! えい! はやく とまれ!」
でし が オノ で ほうき を きるたび に、ほうき は ドンドン ふえていって、ドンドン みず を はこん で きます。
「あーん、これじゃ、おぼれちゃうよー」
でし は にかい へ にげよう と、かいだん を かけのぼりました。
そのとき、まほうつかい が かえってきました。
「なんだ これは! さては、でし の しわざ だな」
ビックリ した まほうつかい は、あわてて まほう の ことば を となえました。
「ほうき よ、とまれ! みず よ、きえろ!」
そのとたん、ふろ から あふれた みず は パッ と なくなり、ほうき も もと の ほうき に もどりました。
「あの、その、・・・ごめんなさーい」
かいだん の てすり に しがみついていた でし は、まほうつかい に あやまりました。
まほうつかい は でし の あたま を コツン と たたく と、おおきな ためいき を ついて いいました。
「やれやれ、ふろ の みずくみ を いやがる ようじゃ、いちにんまえ の まほうつかい には なれないぞ」
おしまい
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