8月18日の日本民話
おしゃかさまとオニ
山形県の民話
むかしむかし、あるところに、こわい鬼が人をさらっては食べてしまうので、人々はたいへんこまっていました。
その鬼の事を知ったお釈迦(しゃか)さまは、鬼たちを呼びつけると、まっ黒くなるまでいったマメを渡して、
「このマメを畑にまき、マメから芽(め)が出るまでは、決して人を食べてはいかんぞ」
と、言いました。
鬼たちは毎日畑に行っては、マメに水をかけ続けました。
いったマメからは芽が出るはずはありませんが、なんと1ヶ月後、いったマメから芽が出てきたのです。
鬼たちは喜んで、その事をお釈迦さまに知らせに行きましたが、こまったお釈迦さまは、
「あいにくと、今日はいそがしくて見に行かれない、明日必ず行くから待っておれ!」
と、鬼たちをひとまず帰しました。
「それにしても、いったマメから芽が出てくるとはな。さて、今晩中にマメの芽をなくさなければ」
と、お釈迦さまはネズミたちを呼ぶと、
「お前たち、今すぐ鬼の畑に行って、マメの芽を根っこから食べてこい」
と、いいつけました。
次の日、お釈迦さまは鬼の家に行き、
「先ほど、お前たちの畑に出かけたが、畑には一本の芽も出ていないぞ。さては、人を食べたくて嘘(うそ)をついたな!」
と、鬼をしかりつけました。
「おかしいな。たしかに、マメから芽が出たはずだが・・・」
鬼たちが畑に確かめに行くと、近くの木に止まっていたカラスが、
「さっき、お釈迦さまのネズミが来て、マメの芽を食べて行ったよ」
と、話してしまったのです。
それを聞くと、怒った鬼たちは、
「お釈迦さまがネズミを出してマメの芽を食べさせたなら、俺たちはネコを出してネズミを食わしてやる」
と、ネコを出してネズミを食べさせてしまいました。
それからというもの、ネズミはネコを見るとすぐに逃げるようになったという事です。
おしまい
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