8月8日の世界の昔話
二匹のよくばり子グマ
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むかしむかし、深い森のはずれにクマの親子が住んでいました。
二匹の子グマと、お母さんグマです。
子グマたちは大きくなると、世の中へ出て、しあわせをつかもうと思いました。
子どもたちの願いを、お母さんはゆるしてくれました。
「いいですとも、いっておいで。でも、どんなことがあってもけんかをしてはいけませんよ。けんかをすれば、損をしますからね」
「大丈夫。ぼくたち仲良しだから、けんかなんかするものか」
二匹の子グマは、元気よく旅に出かけました。
朝から晩まで歩き、次の日も、朝から晩まで歩きつづけました。
そうやって旅をつづけているうちに、お母さんにもらった食べ物がなくなってしまいました。
二匹の子グマは、トボトボと重い足をひきずっていきました。
「ああ、兄さん、ぼく、もう歩けないよう。朝から何も食べていないんだもの」
と、弟グマがなきだしました。
「ぼくだって同じだ。腹がへって死にそうさ」
兄さんグマも、ためいきをつきました。
それでも二匹は、ノロノロと歩きつづけました。
すると道のまん中に、赤い大きな丸い物がおちています。
「なんだろう?」
子グマたちは、いそいでそばへいってみました。
するとそれは、大きなチーズではありませんか。
二匹は大喜びで、さっそくチーズをわけようとしました。
ところが、兄さんグマも弟グマも、自分がわけなければ、もらう分が少なくなって損をすると思ったのです。
「ぼくがわけてやる」
「いやだ。ぼくがわける」
チーズをそばにおいて、二匹は口げんかをはじめました。
そのとき、ヒョッコリとキツネのおばさんがやってきました。
「まあ、まあ、子グマさんたち。けんかはおやめなさい。何をそんなにおこっているの?」
そこで子グマたちは、わけをはなしました。
するとキツネは、笑っていいました。
「おや、そんなことだったの。それなら簡単よ。おばさんにチーズをかしてごらん。上手にわけてあげますよ」
「ああよかった。でも、同じ大きさにしておくれよ」
「きっとだよ」
兄弟はそういいながら、喜んで丸いチーズをキツネにわたしました。
キツネはチーズをうけとると、二つにわりました。
見ると、ひとつの方が大きいのです。
子グマたちはさけびました。
「あっ、あんなに大きさがちがうよ」
するとキツネは、ニヤリとわらいました。
このキツネはずるいやつで、わざと片方を大きくしたのです。
「まあまあ、ぼうやたち、さわがないで大丈夫よ。おばさんがうまくしてあげるから」
そしてキツネは、大きい方にガブリとかみついて、かなり食べてしまいました。
「あ、あ、そっちが小さくなっちゃった!」
子グマたちは、さけびました。
「平気、平気。それなら今度は」
と、いいながら、キツネはまた別の方をかじりました。
すると、そっちが小さくなりました。
「あ、あ、あ、そっちが小さくなっちゃった」
「いいの、いいの」
キツネはしらん顔で、あっちをかじったり、こっちをかじったり。
そしてやっと同じ大きさになったときには、チーズはちっぽけなかけらになっていました。
「さあ、これでいいでしょう。さようなら」
キツネは大きくなったお腹をさすると、さっさといってしまいました。
おしまい
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