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11月7日の世界の昔話

ご先祖さまはみんなタマゴ

ご先祖さまはみんなタマゴ
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 むかしむかし、一羽のメンドリが、エサをさがしに川におりてきました。
 この川には、大きなワニが一匹すんでいます。
「なかなかうまそうなメンドリがいるわい。よし、明日はあれをつかまえて食ってやろう」
 よく朝、ワニは川の近くのしげみの中にかくれて、メンドリが川にやってくるのをジッとまちました。
 そんなこととは知らずに、メンドリは歌いながら、いつものように川におりてきました。
「しめた!」
 ワニはいきなりしげみからとび出して、大きな口をあけていいました。
「やいやい、メンドリ。おとなしくおれに食われてしまえ!」
 メンドリはビックリして、すぐに逃げようとしましたが、でも、とても逃げられないとわかると、
「どうかわたしを食ベないで! ワニのお兄さん」
と、さけびました。
 お兄さんといわれて、ワニはビックリ。
(どうして、おれが兄さんなんだろう?)
 ワニが首をひねっているうちに、メンドリはにげてしまいました。
「あいつ、おれをお兄さんだなんて。・・・まてよ、きっと聞きまちがいだな」
 でも、どうしても気になるので、ワニはもう一度ためしてみることにしました。
 次の朝、ワニは川原のしげみにかくれて、メンドリがくるのをまちました。
 するとメンドリがエサをつっつきながら、やってきました。
 ワニは大きな口をあけて、とび出しました。
「やいやい、昨日はうまくおれからにげたな。今日はかくごしろ!」
「どうかわたしを食ベないで! ワニのお兄さん」
「???」
 今度こそ、聞きまちがいではありません。
 ワニがまごまごしていたので、メンドリはまた、にげていってしまいました。
 ある日ワニは、なかよしの大トカゲにあいました。
「これは、いいところであった。おまえにちょっと聞いてもらいたいことがあるんだ」
「いったい、どうしたんだい?」
「このあいだ、うまそうなメンドリを見つけたんだ。そいつを食ってやろうとすると、『食ベないで、お兄さん』と、いいやがる」
「お兄さんだって?」
 大トカゲは、わらいながらいいました。
「そりゃ、兄さんにはちがいないなあ」
「???」
 ワニは、ふしぎそうにたずねました。
「いったい、それはどういうわけだい? どうしてこのおれが、メンドリの兄さんなんだい?」
「いいか。カモは何から生まれる?」
「カモねえ。それはタマゴだな」
「では、カメは?」
「ううむ、それもやっぱり、タマゴさ」
「じゃあ、おれは? おまえは?」
「きまっているじゃないか、タマゴだよ」
 大トカゲは、ニヤリわらって、
「それじゃ、メンドリは何から生まれると思う?」
「ううむ、やっぱりタマゴだ」
「どうだい、わかったかい? おれたちはみんなタマゴから生まれたんだ。だからみんな兄弟なのさ。メンドリがいうように、おまえは兄さんにちがいない。わかったか?」
「ふうん、タマゴから生まれた兄弟ねえ。兄弟となると、食べるわけにはいかないな」
 それからはワニは、けっしてメンドリを食ベなかったそうです。

おしまい

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