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泉のほとりのシカとライオン

泉のほとりのシカとライオン

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亜姫の朗読☆ イソップ童話より

 のどのかわいたシカが、泉のほとりへやってきました。
 水を飲んだ後、ふと見ると、自分のかげが水にうつっています。
 大きくて、いくつもの枝にわかれた角は、われながらうっとりするほど立派です。
 シカは、すっかりとくいになりました。
 ところが足を見ると、ヒョロヒョロしてたよりない感じなので、がっかりしてしまいました。
「せっかく、これほど立派な角を持っているのに、この足ではなさけない」
 シカが水にうつった自分の姿をながめて考え込んでいるところへ、とつぜんライオンがあらわれました。
 シカはいそいで、逃げました。
 ライオンは追いかけましたが、シカは足の速い動物ですから、いくら強いライオンでも追いつけません。
 それどころか、シカはずんずんとライオンを引き離してしまいました。
 野原がつづいているあいだは、シカはライオンのずっと先を逃げてゆくことができました。
 そのうちに、シカは森にさしかかりました。
 すると、大きな角が木の枝に引っかかって、うまく走れなくなりました。
 そうして、ぐずぐずしているうちに、ライオンに追いつかれて、つかまってしまいました。
 ライオンのえじきになったシカは、死ぬ前に心の中でいいました。
「なさけないことだ。わたしににくまれていた足がわたしを助けてくれたのに、わたしがじまんしていた角のために、こうして死ななければならないとは」

 このシカと同じように、あぶない目にあったとき、ふだんはあまり信用していなかった友だちがわたしたちを助けてくれ、はんたいに、いつも信じていた友だちがわたしたちを見捨てることがあるものです。

おしまい

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