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旅に出たディオゲネス

旅に出たディオゲネス

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亜姫の朗読☆ イソップ童話より

 ディオゲネスはギリシャの哲学者で、するどい皮肉なことをいうのがじょうずな人でした。
 ディオゲネスが旅に出て歩いていきますと、川の岸につきました。
 川の水はまんまんと、あふれそうです。
 ディオゲネスは、はたとこまって、岸に立ったまま、とほうにくれていました。
 この川のそばにすんでいて、旅人たちを助けて川をわたらせるのを仕事にしている男がいました。
 ディオゲネスがこまっているのを見たこの男は、そばへ寄ってきて、ディオゲネスを自分の肩にのせました。
 そして、むこう岸まで親切にはこんでくれたのです。
 ぶじに川をわたることができたディオゲネスは、親切な男にお礼をしたいと思いましたが、とてもびんぼうなので、お礼ができません。
「ああ、こんなにびんぼうでなければ、この人にたっぷりお礼ができるのに」
と、ざんねんに思いました。
「どうやって、感謝をあらわせばよいだろう」
 ディオゲネスは、すっかり考えこんでしまいました。
 ディオゲネスがこうやって考えこんでいるうちに、あいての男は、川のむこうにべつな旅人がきたのをみつけると、さっさと川をわたってむこう岸へもどりました。
 そして、さっきと同じように、肩にのせてわたしてやりました。
 それを見たディオゲネスは、男に近づいて、こう言いました。
「わたしは、もうあなたにお礼をしたいとは思いませんよ。わたしがディオゲネスだとわかったから、親切にしてくれたと思ったのに、そうではなくて、あなたはただ、だれかれなしに川をわたらせるのが趣味なのだから」

 このお話しは、だれにでも親切にする人は、親切な人だと感謝されるよりも、変わった人だと思われる方が多いということをおしえています。

おしまい

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