| 福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話
 
 
  
 できないことを約束する男
   びんぼうな男が、病気になってくるしんでいました。お医者たちは、
 「もう、なおる見こみはない」
 と、いいました。
 そこで、男は神さまに助けてもらおうとして、
 「わたくしを元気にして下さったら、百匹のけだものと、そのほかのおそなえものをたくさん差し上げますから、どうかなおして下さい」
 と、おいのりしました。
 そのとき、すぐそばにいたおかみさんがはびっくりして、
 「いったいあんたは、そんなことをするお金をどこで見つけてくるつもりなの」
 と、聞きました。
 すると男は、
 「なにいっているんだ。おれは病気がなおりさえすればいいんだ。神さまがおそなえものを取り立てにくるかどうかなんて、知ったことじゃない」
 と、答えました。
 
 このお話しは、人間は、はたすつもりのない約束を、口先だけならいくらでもするということをおしえています。
 おしまい    
 
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