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ヘルメスとテイレシアス
テイレシアスは目が見えない人でしたが、占いの名人として知られていました。
ヘルメスの神はテイレシアスが評判の通りに、占いが上手かどうか試してみようと思いました。
そこでテイレシアスの実家で飼っているウシを盗んでおいてから、人間に姿を変えて知らん顔をして町にあるテイレシアスの家を訪ねました。
ウシを盗まれた事を知ったテイレシアスは、ヘルメスと一緒に家を出て町外れに行きました。
ウシ泥棒がどこにいるか、占う為でした。
テイレシアスは、
「すみませんが、どんな鳥が見えるか、言って下さい」
と、ヘルメスに頼みました。
始めに見えたのは、左から右へ飛んで行く1羽のワシでした。
ヘルメスがそう教えますと、テイレシアスは、
「その鳥は、盗まれたウシとは関係がありません」
と、言いました。
次にヘルメスは、1羽のカラスが木の枝に止まっているのを見ました。
カラスは目を空の方に上げたり、うつむいて地面を見たりしていました。
ヘルメスがテイレシアスにこの事を教えると、テイレシアスは、
「ふーむ、なるほど。そのカラスは、わたしのウシが取り戻せるかどうかは、あなた次第だと、天と地に向かって誓っているのです」
このお話しは、泥棒をいましめる為のお話しです。
おしまい
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